松尾篤興のブログ「閑話放題」

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法から、日本の政治まで、言いたい放題の無駄話。

日本はどうしたのか 正気とは思えないトランプ“狂騒”<上>

  


 いくら令和初の国賓とはいえ、ここまでやる必要があるのか――と思うほど、トランプ大統領に対する安倍首相の接待は、あまりに異様な光景と言わざるを得なかった。
 26日の午前9時すぎ。青のジャケットと白のズボン姿で千葉・茂原市の「茂原カントリー倶楽部」に現れた安倍は直立してトランプを待ち、遅れて到着したヘリからトランプが出てくると、急いで駆け寄って握手。そしてゴルフカートのハンドルを自ら握って運転手を務め、トランプがパットを決めるたびに傍らでパチパチ拍手。そしてトランプが同行を希望したというプロゴルファーの青木功氏をゲストに招き、昼食はトランプの大好物というハンバーガー。まさに、これぞ“接待ゴルフの見本”という姿だった。
 その後、2人は都内の両国国技館に直行。土俵近くの升席にイスを設置し、SPや制服警察官ら100人を超える超厳戒態勢の中、トランプは現職大統領として初の大相撲観戦。取組後は、わざわざトランプが土俵に上がるための「特殊階段」まで作り、大統領杯を渡すパフォーマンスの場まで提供したのだから、前代未聞だ。
「朝鮮半島の危機」などの著書がある米ジョージ・ワシントン大准教授のマイク・モチヅキ氏は25日付の朝日新聞で〈安倍首相に対しては「トランプ大統領のペット」という批判があります。ノーベル平和賞の推薦文を書いたり、大相撲の表彰式という機会を用意したりと、いくつかはやり過ぎだと思います〉と断じていたが、その通りだろう。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。
「来日目的がいまひとつハッキリしないトランプ大統領をなぜ、安倍首相はこれほど持ち上げるのか。どこまでご機嫌を取れば気が済むのか。日本の国民として情けないし、恥ずかしいとしか言いようがない」
 日本は米国従属を超え、もはや主権国家さえも放棄してしまったかのようだ。


*実況中継し、はしゃぐテレビ局の亡国
「トランプ大統領が今、羽田空港に到着しました」「トランプ大統領を見ようと多くの人が詰め掛け、カメラを構えています」「ゴルフ場の外では双眼鏡を手にトランプ大統領の姿を追う住民の方々の姿があります」――。
 唖然ボー然だったのは、トランプを持ち上げる安倍の姿を、生中継を交えて垂れ流していたテレビだ。
 特に酷かったのはNHKだろう。トランプが日本に到着する前から〈間もなく到着〉などとお祭りムードを演出し、26日の大相撲中継でも、安倍とトランプが会場に姿を見せると、取組を控えた土俵の力士ではなく、2人をズームアップ。さらに大相撲の後番組「これでわかった!世界のいま」でも、本来の番組テーマである「国際ニュース」そっちのけで、東京・六本木の高級炉端焼き店に向かう安倍とトランプの様子を延々と生中継していたからバカバカしくなる。
 国民を煽り、視聴率さえ稼げればそれでいいのか。元共同通信記者でジャーナリストの浅野健一氏は「これぞ大本営発表の典型」と言い、こう続ける。
「トランプ大統領というのは今、世界でどんな目で見られているのか。対中貿易戦争で世界経済を揺さぶり、イランや中東で火種をつくり、ロシアとの関係も微妙です。そういう問題人物が国賓で来日したからといって手放しで喜ぶべき状況にあるのか。冷静に考えれば分かることでしょう。本来は、淡々と報じればいいだけ。それなのに、政府広報と化して、どこで何を食べたとか、バカ騒ぎしている。ジャーナリズムの視点、意識が全く欠けています」
 安倍政権の思うつぼだ。


*安倍首相はなぜ、ここまでトランプに媚びるのか
 ここまで安倍がトランプに媚を売る理由はハッキリしている。すべて支持率アップ、政権維持、夏に行われる参院選に勝利するためだ。
「外交の安倍」をウリにしている安倍政権は、「安倍―トランプ」の蜜月関係を演出できれば、支持率が上昇し、苦戦必至の参院選も勝利できると踏んでいるという。
 実際、大手メディアは、来日前から「トランプ大統領と渡り合えるのは安倍首相しかいない」などとヨイショ報道に終始している。今ごろ安倍は、計算通りだ、とニンマリしているのではないか。
さらに、トランプの“口封じ”という狙いもあるという。
「日米首脳会談は4、5、6月と3カ月連続で行われます。いくら同盟国とはいえ毎月開くのは異例です。恐らく、安倍首相はトランプ大統領に『7月の参院選が終わるまではむちゃなことは言わないで下さい』と懇願しているのだと思う。安倍首相が懸念しているのは、“日米貿易交渉”でしょう。参院選前に“自動車”と“農業”で押し込まれたら、自民党は惨敗してしまう。相手があのトランプ大統領だけに、1度お願いしただけでは不安だから、頻繁に会って、ご機嫌を取るしかないと考えているのだと思います」(政治評論家・本澤二郎氏)
 しかし、トランプのご機嫌を取るためのコストはハンパじゃない。4月の安倍訪米時、トランプが「日本は大量の防衛装備品を買うことに合意した」と、“密約”をバクロしている。1機116億円の最新鋭ステルス戦闘機「F35」の100機取得だけでも1兆円超だ。
(日刊ゲンダイ)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「美声を科学する」販売店
◉Mazzuola Editore ダイレクトセール・松尾出版直販(送料無料)
http://mazzola-editore.easy-myshop.jp
◉Amazon
https://www.amazon.co.jp/美声を科学する-松尾篤興/dp/4990812808/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1521368401&sr=8-1&keywords=美声を科学する