松尾篤興のブログ「閑話放題」

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法から、日本の政治まで、言いたい放題の無駄話。

北との対話に尻込み 拉致問題から逃げる安倍首相の二枚舌


 膠着状態の日朝関係が動きだす兆しが見えてきた。南北首脳会談で文在寅大統領から水を向けられた金正恩朝鮮労働党委員長が、「いつでも日本と対話を行う用意がある」と応じたというのだ。それで解せないのが、「拉致問題は安倍内閣の最重要課題」と言ってきた安倍首相の動きだ。金正恩の発言をとうに耳に入れておきながら言及せず、韓国大統領府が発表するまで頬かむりしていた。一体どういうつもりなのか。


 南北会談の翌日(28日)、安倍首相は文在寅から報告を受けたトランプ大統領と約30分間電話会談。その翌29日は文在寅とも約40分間電話会談し、来日した徐薫国家情報院長から80分間にわたって一連の説明を受けた。その都度、安倍首相はブラ下がり取材に応じたが、冴えない顔色で「詳細な説明を受けたが、詳細については差し控えたい」「詳細は現段階で申し上げられない」などと繰り返し、中東外遊に飛び立った。その後、韓国が「日本と対話の用意」という金正恩の意向をオープンにしたのがコトの経緯だ。


 急展開する北朝鮮情勢の蚊帳の外に置かれ、慌てて日朝対話を探り始めたのは安倍政権の方だ。圧力一辺倒に業を煮やす北朝鮮はナシのつぶてだったが、ここにきて態度を一変させた。


 横田めぐみさんの母親の早紀江さんは「安倍首相も金正恩さんも同じように会談を望んでいるという、今までで一番明瞭で期待できる内容だ」と顔をほころばせている。普段は過剰なほど成果を誇示する安倍首相が、だんまりを決め込んだのはなぜなのか。


■拉致問題の進展を阻んでいるのは誰?


 元レバノン大使の天木直人氏は言う。


「安倍首相が金正恩委員長の反応を最初に知らされたのは、トランプ大統領との電話でしょう。トランプ大統領と文在寅大統領に拉致問題の提起を頼み込んでいたわけですから、満額回答と言っていい。それなのに自分の口から一切明かさず、喫緊の課題もない中東へ向かった。日朝首脳会談が実現すれば、拉致問題をめぐるウソがばれてしまうからではないか。まさに敵前逃亡ですよ。安倍政権はストックホルム合意に基づく再調査結果を正式には受け取っていませんが、内容は把握しているはずで、安倍首相にとって都合が悪いものだと伝えられている。安倍首相が〈全ての拉致被害者を取り戻す〉と言い続けているのはデタラメである可能性が高いのです」


 風向きが変わった途端、安倍首相周辺から「北朝鮮は日本から経済支援を引き出そうとして、拉致問題で態度を硬化させるんじゃないか」(外交筋)と日朝会談に慎重な観測が流れるのも不可思議だ。


 朝鮮半島情勢に詳しい国際ジャーナリストの太刀川正樹氏はこう言う。


「北朝鮮からすれば拉致問題は解決済み。日本がストックホルム合意による再調査報告書を受け取らないため、宙に浮いたという認識なのです。安倍首相は拉致被害者の象徴的な存在である横田めぐみさんの救出を訴えてきましたが、北朝鮮は死亡という従来結果を覆していない。このタイミングでそうした事実を突きつけられたら、3年以上もウソを重ねていたことが明らかになる。安倍首相は相当なジレンマに陥っているでしょう」


 生存が伝えられる被害者もその家族も高齢化が進む。拉致問題の進展を阻んでいるのは紛れもなく安倍首相本人だ。「拉致問題は安倍内閣で解決する」はやっぱり嘘八百なのだ。
(日刊ゲンダイ)
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