松尾篤興のブログ「閑話放題」

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法から、日本の政治まで、言いたい放題の無駄話。

モリカケ幕引きに加担 司法と大メディアは安倍政権とグル


 もう、国民は司法を信用しなくなるのではないか。


 森友事件の捜査を続けてきた大阪地検特捜部が、公文書を改ざんした疑いで告発されていた佐川宣寿前国税庁長官(60)を不起訴にする方針を固めた。と同時に、国有地を8億円もダンピングして背任容疑に問われていた近畿財務局の幹部も不起訴にするという。


 納得している国民はほとんどいないのではないか。公文書の改ざんにしろ、8億円の不当な値引きにしろ、起訴するための「証拠」と「動機」は揃っているからだ。


 公文書の改ざんは計14文書に及び、300カ所も行われていた。安倍首相の昭恵夫人の名前が削られ、昭恵夫人が「いい土地ですから前に進めてください」と、森友学園の籠池泰典理事長に語ったとされる発言も見事に削除されていた。300カ所も改ざんしたのに、どうして無罪放免なのか。


 改ざんに手を染めた動機もハッキリしている。安倍が国会で「私や妻が関わっていたら総理も国会議員も辞める」と豪語したからだ。昭恵夫人が関わっていた証拠を消すために改ざんしたのは明らかだ。国有地を8億円もダンピングして森友学園に売り払ったのも、昭恵夫人が、森友学園が開校を進めていた小学校の名誉校長を務めていたからである。


 ここまで動かぬ証拠があるのにどうして不起訴なのか。かつて、供述を捏造してまで小沢一郎を有罪にしようとした時とは正反対である。


「公文書の改ざんも、国有地をダンピングして国家に損害を与えたことも事実なのに、誰も罪に問われない。いくらなんでも国民感情とズレていますよ。その一方、口封じのためか、籠池夫妻をいまだに勾留している。司法の判断はアンバランスだし、不可解です。心配なのは、不起訴によって森友事件に対して“幕引き”ムードが広がることです。過去の疑惑も、検察が不起訴にすると、あっと言う間に国民の関心が低下しています」(政治評論家・本澤二郎氏)


■会期末を睨んだ文書の出し方、それに合わせた佐川不起訴報道


 まさか、検察とあうんの呼吸で進めているのか、許しがたいのは、安倍自民党も森友事件を“終わり”にしようとしていることだ。


 自民党は野党に対して、改ざんされる前の「公文書」を18日までに公表すると約束していたのに、一方的に公表時期を23日まで延期すると通告。野党が「約束が違う」と抗議しても、「書類は公表するのだから約束は守るということだ」などと、完全に開き直っている。


 公表時期を23日まで遅らせたのは、森友事件を幕引きにするためだ。約束通り18日に公表していたら、野党は21日に予定されていた予算委集中審議で安倍を徹底的に追及する方針だった。


 しかし、公表日が23日になると集中審議も再来週の28日にズレ込むことになる。28日まで大きく遅れたら、国会会期末の6月20日までほとんど審議時間はない。しかも、6月以降は、メディアの関心が史上初の「米朝会談」に集中するから、森友事件は忘れ去られる可能性が高い。国会が閉じてしまえば、野党は追及するチャンスさえ失ってしまう。


 安倍自民党が「文書の公表を23日にすれば森友事件は終わる」と、幕引きシナリオを練ったのは間違いないだろう。


「森友事件はかれこれ1年以上、騒がれた疑惑です。隠蔽していた事実や文書が発覚し、ようやく真相が見え始めた。2時間ドラマで言えば、犯人が崖の上に追いつめられ、これから謎解きが始まる場面です。ところが、検察が不起訴としたことで、プツッと番組が終わろうとしている。日本人は決着がついたら『ああ、そうか』と受け入れてしまいやすい。国会が閉会し、メディアも取り上げなくなったら、森友事件は幕引きとなってしまう恐れがあります」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)


 いまごろ安倍は、「うまくいきそうだ」とほくそ笑んでいるのではないか。


■日本は不正がまかり通る国に


 しかし、このまま森友事件が幕引きとなったら、日本は終わりだ。言うまでもないが、森友事件は加計事件と同じく、国のトップの関与が疑われている重大事件である。まだ全容が解明されていないのに幕引きとなったら、もうこの国は民主国家ではない。


「森友事件も、加計事件も構図はまったく同じです。安倍夫妻と親しい人物だけが国家から特別扱いされて恩恵を受け、そのカラクリが国民にばれると、高級官僚が体を張って安倍首相を守るという構図です。『資料は破棄した』『記憶の限りお会いしていない』と嘘をつき、公文書改ざんという犯罪にまで手を染めている。


 改ざんを強要されたノンキャリは自殺に追い込まれ、亡くなった後も、財務大臣から『改ざんは個人の資質』と責任を負わされています。その一方、安倍首相は『膿を出し切る』と、官僚に責任を押しつけている。これって、どう考えてもおかしいでしょう。公文書の改ざんまで行われたのに、すべて不問とされ、幕引きとなったら、日本は不正がまかり通る国になってしまいます」(五十嵐仁氏=前出)


 信じられないのは、早くも「安倍3選」が囁かれていることだ。森友事件が幕引きとなったら、安倍は秋の総裁選で3選される可能性がグンと高まる。安倍3選が決まったら、ますます官僚は忖度し、安倍の個人的な利益のために働くようになるだろう。絶望的である。


■メディアが権力と結託の末期


 それにしても、どうかしているのが大新聞・テレビだ。


 大阪地検が、森友事件を不起訴にする方針を固めたことに対しても、疑問ひとつ唱えない。検察のレクチャー通り「立証のハードルは高かった」などと、もっともらしく解説しているのだから話にならない。どうして、国民サイドに立った論陣を張らないのか。公文書が300カ所も改ざんされたのに、本当に不問のままでいいと思っているのか。


 そもそも、ここまで安倍をツケ上がらせたのも、大手メディアが甘いからだ。


「安倍首相の発想は、その場しのぎの嘘だろうが、ずっと強弁を続けていれば、いずれウヤムヤに終わるというものです。この5年間、疑惑を追及されると、まず『証拠を出せ』と居直り、証拠が出てくると『誤解を招いたことは申し訳ない』などと、口先だけで謝罪するパターンです。安倍首相が謝罪するまで半年、1年と疑惑追及が続くので、国民の方もウンザリしてしまう。


 もし、安倍首相がデタラメな答弁をするたびに、ジャーナリズムが『それはおかしい』と、一つ一つ批判していれば、森友事件にしろ、加計事件にしろ、ここまで長期化しなかったはずです。末期的なのは、大手メディアまで『いつまでモリカケをやっているのか』『政策論争をやるべきだ』などと、幕引きに手を貸していることです。ジャーナリズムが権力と結託したら民主主義は成り立ちません」(政治評論家・森田実氏)


 この国は、司法もメディアも政権とグルなのか。まともな国民はやってられない。
(日刊ゲンダイ)
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