松尾篤興のブログ「閑話放題」

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法から、日本の政治まで、言いたい放題の無駄話。

どこまで嘘をつき続けるのか 暴力大学と暗黒政権の末路

 


「加計学園や森友学園の問題は日大アメフト部の悪質タックルとよく似ている」


 自民党内で安倍政権批判を続ける数少ない議員のひとり、村上誠一郎元行革相のこの発言がSNSなどで拡散され、話題になっている。発言はこう続く。


「監督はいまだに選手に指示出していないと。だけど、選手はタックルでけがさせたわけでしょ。永田町に振り替えてみれば、命令していないというけど、(公文書)を改ざんしているわけでしょ」


 両者の類似性。確かにそうだ。誰もが膝を打ったことだろう。


 日大アメフト部の悪質タックルについては22日、“加害者”の宮川泰介選手が会見して経緯を告白している。内田正人前監督から「やる気が足りない」と叱られ、実戦練習に出してもらえず、精神的に追い込まれていたところへ、井上奨コーチから前監督の意向として、「相手のQBをつぶせば試合に出してやる」と言われたという。試合直前にもコーチに念を押され、前監督に「やらなきゃ意味ないよ」と迫られ、正常な判断ができない中で反則タックルをやってしまったのだ。


 しかし前監督は、「全て私の責任」と言いながらも、反則行為の指示は否定。23日の会見でも、宮川選手との「認識のずれ」を強調した。大学側も「『QBをつぶせ』とは『思い切って当たれ』の意味で誤解を招いた」と監督を擁護する。結果的に選手の問題だと責任転嫁しているのである。


 これを安倍政権に照らし合わせてみる。


 内閣人事局を悪用して官邸が霞が関の人事を握る中、将来を嘱望された人が飛ばされたり、前川喜平前文科次官のように「出会い系バーに出入り」と人格攻撃までされるのを見せつけられ、官僚たちは恐怖におののく。安倍官邸に従わなければどうなるか分からないと追い詰められ、結果、忖度官僚が跋扈し、ついには公文書改ざんという“犯罪行為”にまで手を染めてしまった。


 ところが普段から「私が最高権力者だ」と威張っている安倍首相は、モリカケ問題で次々と疑惑が噴出すると、嘘と詭弁と責任逃れの一手だ。財務省が23日、廃棄したはずの森友学園との交渉記録約1000枚を出してきたが、「廃棄」とした佐川宣寿前国税庁長官の答弁に合わせるためだったと、責任を佐川に押し付けた。


 森友問題の核心にいるのは首相夫妻だ。それは今や国民にも認識されているのに、安倍が23日の衆院厚労委で「廃棄は不適切で遺憾だ」と答弁していたのは、もはやマンガである。


■権力の独裁と腐敗に共通の特徴


 日大の悪質タックル問題では20歳の学生が、すべてを明らかにして被害者に謝罪した。それに引き換え、森友問題で証人喚問された佐川も、加計問題で参考人招致された柳瀬唯夫元首相秘書官も、公僕としての矜持を捨てて安倍を守り続け、まだ口を割らない。


 柳瀬はここを乗り切れば経産次官の目があるし、佐川もほとぼりがさめた頃に天下り復活の期待がある。安倍官邸に背けば報復人事で地獄に落とされかねないと震えているのか。


 佐川は不起訴が固まったと報じられているし、加計問題では、首相に国家戦略特区の職務権限があったことから、贈収賄の疑いも出ている。真実を口にして、共同正犯に問われるのが怖いのか。


 政治評論家の森田実氏がこう言う。


「あらゆる権力の独裁と腐敗には共通の特徴がある。権力者の周りを茶坊主が取り囲み、正義を捨て権力者を守ることで、自らが生き永らえるのです。日大アメフト部では内田前監督を絶対視する中で、学生がすべてをさらけ出したことは救いでした。しかし安倍政権の場合は、首相も麻生財務相も地位に居座り、茶坊主の官僚は真実にふたをして嘘をつき、首相を擁護する。どうして日大の若者のように勇気ある行動を起こす人が出てこないのでしょう。一人でも正義を取り戻せば、この閉塞感に風穴があくと思うのですが……」


■国民を見下し、木っ端役人の上に胡坐をかく巨悪


 そもそも、政府が一私大の一運動部と比較されるようじゃオシマイだが、冷静に考えると、安倍政権の方が間違いなく悪辣だ。


 23日財務省が国会に提出した森友学園との交渉記録の記述は衝撃的である。安倍が完全否定してきた昭恵夫人の関与が明確になったのだ。


 2015年11月に夫人付職員だった谷査恵子氏が財務省の国有財産業務課に問い合わせをしているのだが、交渉記録には〈安倍総理夫人の知り合いの方(森友学園の籠池前理事長)から、(定期借地権の減額の)優遇を受けられないかと総理夫人に照会があり、当方からお問い合わせさせていただいたもの〉とはっきり書かれている。


 谷氏が財務省に問い合わせていたことは、谷氏から籠池前理事長へ送られたファクスで、すでに明らかになっているが、これについて安倍は先月も国会で「谷氏が自発的にやったこと」と答弁していた。


 財務省の交渉記録という公文書に「総理夫人」の文字があり、谷氏の自発的行動ではないことは自明。「私や妻が関わっていたら総理も国会議員も辞める」と豪語した安倍は、普通の神経なら議員辞職が当然だ。


 加計問題でも、愛媛県文書に安倍が加計学園の加計孝太郎理事長から直接、獣医学部の計画を聞かされていたことが記されていた。加えて、この愛媛県文書には、加計学園関係者が当時の加藤勝信官房副長官に面会を予定しているという記述があり、首相秘書官だった柳瀬が「獣医学部新設の話は総理案件」と話したという記述もある。つまり、官邸ぐるみで加計学園をバックアップしていた構図がクッキリ浮き彫りなのである。


■狂気の沙汰の3選パーティー


 とにかくモリカケ疑惑は底なし沼だ。嘘を嘘で固めても、次から次へと証拠が出てくる。まるで米国のウォーターゲート事件さながらで、実際、海外では「モリカケゲート」と呼ばれ、安倍は絶体絶命だとみられている。それなのに、さらなる嘘で上書きして逃げ切れると思っているのだから、この暗黒政権は本当に醜悪極まりない。


 支持率下落も落ち着いた。世論はモリカケ疑惑に飽きている。そう高をくくっているのだろう。口をつぐむ木っ端役人の上に胡坐をかき、国民を見下している巨悪が安倍だ。


 そんな中、安倍の出身派閥である細田派は22日に開いたパーティーで、細田博之会長が「安倍首相に引き続き首相をやって欲しい」と挨拶、秋の自民党総裁選での3選への気勢を上げているのだから、狂気の沙汰である。


 政治評論家の野上忠興氏がこう言う。


「この状況下のパーティーで、安倍首相の3選を口にするとは、何を考えているのでしょうかねえ。国民を甘く見ています。モリカケ疑惑にしても安倍首相が『ガタガタ言うなら、証拠を見せろ』といまだ強気なのも、権力を持てば何でもできるというおごりの極み。本来なら自民党の中から『おかしい』という声がもっと上がり、自浄作用があっていいのに、人事や公認権を握られているからなのか、みんなおとなしい。官邸も霞が関も永田町も歪み切っています。ただ、地方の自民党員には世論と同じで不満が高まっていますから、3選は簡単ではありませんよ」


 悪質タックルの学生がひとりで謝罪会見を開かざるを得なかったことで、学生に責任お仕着せの日大は世論の猛批判を浴びている。被害選手からの被害届を受け、23日警視庁が傷害容疑で捜査も開始した。これから日大も前監督もジワジワ追い詰められるだろう。


 嘘をつけば逃げ切れると思っている官邸は、暴力大学の行く末をよくよく見ていた方がいい。
(日刊ゲンダイ)
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