松尾篤興のブログ「閑話放題」

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法から、日本の政治まで、言いたい放題の無駄話。

注目の「危機管理学部」 日大と加計学園にだけ存在の衝撃

 


 日大アメフト部の悪質タックル問題で注目を集めた「危機管理学部」。この学部が売りの日大が、危機管理対応のマズさを露呈したことが失笑を買った。


 ところで、危機管理学部は全国にどのくらいあるのか。文科省は「学部ごとの設置数のデータはない」というが、予備校の偏差値サイトなどを見ると、危機管理学部がある大学は全国に3つしかない。千葉科学大(2004年学部開設)、日大(16年)、倉敷芸術科学大(17年)だ。日大の他の2校はナント、加計学園系列の大学である。後手後手の対応とフザけた会見で世論の反感を買った日大と、「嘘の説明をした」と自治体に謝罪する前にFAX一枚でマスコミに発表して知らん顔の加計学園だけに危機管理学部が存在する――。悪い冗談のような話だ。


 学部の授業では、問題が起きたらトップは雲隠れして絶対に非を認めず、部下に責任を押しつけて嘘を重ね、都合の悪い記録は廃棄・改ざんして開き直るとでも教えているのだろうか。


「加計学園の千葉科学大は04年の開学当初から、当時は珍しかった危機管理学部が看板でした。安倍さんが安全保障の重要性を訴えてつくらせたともいわれています。ただし、学問として安全保障を教えるというよりも、関係者によると、消防署などに就職しやすい学部をつくったという話でした。学園側は『将来の総理がバックアップ』とアピールしていたそうです。04年5月の開学式典には安倍さんも馳せ参じています」(加計問題を取材するノンフィクション作家の森功氏)


 千葉科学大の創立10周年記念行事にも安倍首相は駆けつけた。その席で加計理事長を「腹心の友」と呼んだことが、後に広く知れ渡った。安倍側近の萩生田幹事長代行が、落選中に客員教授を務めていたのも千葉科学大の危機管理学部だった。


 危機管理学というからには学会もあるのだろうかと調べてみると、「日本安全保障・危機管理学会(JSSC)」が存在する。名誉会長はまたもビックリ、安倍首相だ。


 学会の設立は05年。概要には「この学会は日本国民全体を対象とし、安全保障および危機管理に関する理論とその応用・実践についての研究を深めつつ、有為な人材を育成し、大学、自治体および企業等へ送り込むことに寄与することを目的とする」とある。


 もっとも、学会といっても、役員に名を連ねるのは警察OBや自衛隊OBがほとんど。特別顧問は出雲大社宮司の千家尊祐氏、名誉顧問は渡辺喜美参院議員、顧問には自民党の中谷元元防衛相、佐藤正久外務副大臣、和田正宗参院議員らの名前もある。


 公安調査庁出身で、JSSCの副理事長を務める金沢工業大学教授の古市達郎氏に学会の趣旨や安倍首相が名誉会長に就いた経緯を聞いたところ、こう話した。


「私と渡辺喜美さんの間で、日本の安全保障に関して話し合ったことが設立のきっかけです。安倍さんに名誉会長就任をお願いしたのは民主党政権時代で、総理を辞めて、肩書がなかった時にお願いしました。名誉職のようなもので、総会やセミナーに安倍さんが来たことはありません。JSSCの活動と大学の危機管理学部とは関係がないし、金儲けのための団体でもない。すべてボランティアでやっています。今回の日大の対応は、危機管理がまったくなっていないと思います。まず組織のトップが出てきて謝るべきでした」


 いま話題の日大、加計、安倍首相が“顔役”では、危機管理学のお粗末さを宣伝しているようなもの。学部の受験者が激減しかねない。
(日刊ゲンダイ)
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