Matsuo Atsuokiのブログ

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法、歌唱法。

西日本豪雨被害拡大 政府はこの間、何をやっていたのか

 


 死者・行方不明者が140人を超えた平成史上最悪の豪雨被害を目の当たりにし、SNS上では「遅すぎる」と非難囂々だ。安倍政権が8日午前9時、西日本を中心とした豪雨被害を受け、ようやく災害対策基本法に基づく非常災害対策本部を設置。初会合で安倍首相は「救命救助、避難は時間との戦い。引き続き全力で当たって欲しい」と語ったが、一体どの口が言うのか。


 気象庁が緊急会見を開き、「非常に激しい雨が断続的に数日間降り続き、記録的な大雨となる恐れがある」と最大級の警戒を呼びかけたのは、5日午後2時。この日から西日本と東日本の広い範囲で大雨となり、各地で土砂災害、河川の氾濫が続発。「救命救助、避難は時間との戦い」のはずなのに、安倍政権は何もしなかった。


 やっと重い腰を上げたのは7日午前10時。気象庁の緊急会見から44時間後に官邸で大雨に関する関係閣僚会議を開いたものの、安倍は正午前には東京・富ケ谷の私邸にサッサと引き揚げ、あとはこもりきり。8日の非常災害対策本部の初会合も所要時間はたった20分。その後、来日中のポンペオ米国務長官と韓国の康京和外相の表敬訪問を受けると、安倍は午後2時半には私邸に帰った。


 死者・行方不明者の数は刻々と増え続け、20府県の避難所に計3万人以上も身を寄せていたのに、安倍にとっては、まるで他人事。多くの人々が豪雨にのまれようが、「知らんこっちゃない」という態度なのである。


 


 この冷血首相にとって、国民の生命以上に大事なのは自らの保身だ。5~7日の首相動静を確かめると、安倍がかまけていたのは9月の自民党総裁選対策の飲み会や地方回り、政権延命の目くらましばかりだ。


 気象庁が最大級の警戒を呼びかけた5日。前日に総裁選の地方票掘り起こしのため、国会会期中なのに埼玉県内を行脚した安倍は、この日もお昼に自民党の群馬県議らと会食。夜には東京・赤坂の議員宿舎で開かれた自民党議員との懇親会に出席し、岸田文雄政調会長、竹下亘総務会長、小野寺五典防衛相、上川陽子法相、吉野正芳復興相ら40人超と酒を酌み交わして、親睦を深めた。


 宴会終了から約4時間後、京都府知事が最初の自衛隊出動要請を出したが、安倍も小野寺もシラフで対応できたのか。


 翌6日は朝から、麻原彰晃死刑囚ら元オウム真理教幹部7人の死刑を執行。この日はカジノ法案と参院合区の自民議員救済の公選法改正の参院審議がスタート。麻原らの死刑執行は、不人気法案から国民の目をそらす狙いがミエミエで、おかげで報道はオウム一色に染まり、避難指示など肝心な大雨情報がかすんでしまったのだ。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。


「他の先進国なら、豪雨被害の深刻さが強まる中、国のトップの宴会参加が判明した時点で、クビが飛んでもおかしくありません。非常災害対策本部を設置しても、安倍首相は本部長の小此木八郎防災相に任せきりで、私邸にこもるなど当事者意識ゼロ。少なくとも官邸に詰め、歴史的な豪雨対策の陣頭指揮に当たり、救命救助の現場にげきを飛ばすべきです。W杯以降の“パンとサーカス”の熱狂に首相自身が身を委ね、“次はオウムだ”と浮かれていたとしか思えません」


 未曽有の災害に、完全に緩みきったリーダーしか持たない国民はあまりにも不幸だ。


 緩んでいるのは、安倍一人だけではない。西村康稔官房副長官は、自身も参加した5日の飲み会の様子を、赤ら顔の安倍の写真付きでツイッターに投稿。〈今夜は恒例の自民亭。(中略)和気あいあいの中、若手議員も気さくな写真を取り放題!正に自由民主党党(原文まま)〉〈多くの議員は「(安倍総理が差し入れた)獺祭と(岸田政調会長が差し入れた)賀茂鶴とどっちを飲むんだ??」と聞かれ、一瞬戸惑いながらも、結局両方飲んでました。(中略)笑笑 いいなあ自民党〉と書き込んだ。


 避難者が眠れぬ夜を過ごす中、宴会写真を“拡散”させ、〈笑笑 いいなあ自民党〉はないだろう。当然〈政権与党がこの日に宴会はいけません〉〈自民党の皆さんは気楽でいいですね〉などと批判のリツイートが殺到。翌6日午後の菅官房長官の定例会見で、政治ジャーナリストの安積明子氏もこう追及した。


「昨晩、『自民亭』と言って宿舎で宴会が行われ、総理が参加した。副官房長官がツイッターで皆さん満面の笑みの写真を上げた。豪雨被害に遭った西日本の国民から見ると、政権には危機感を持ってやってもらいたい。国民から見ると、非常に不安を感じる」


 すると、菅は「官邸でもしっかり対応している。大きな、やるべきことをやっていれば問題ない」と一蹴。完全に開き直ったのだ。改めて安積氏に話を聞いた。


「飲み会をするなとまでは言いませんが、気象庁が異例の会見を開いてまで警戒を呼びかけた後に、総理や自民党幹部などがにこやかな表情で楽しんでいる写真を、わざわざ公開する神経は理解できません。ましてや西村氏は政府の要人である官房副長官ですよ。安倍政権は事あるごとに『安全保障』を振りかざし、『国民の生命と財産を守る』と言ってきましたが、あんな緩み切った状態で本当に国民を守れるのでしょうか。ただの奇麗事だったのかと国民を不安にさせるばかりです」


 この政権に大事な生命と財産を預けるのは、非常に危険である。


 トップの安倍以下、官邸の危機感がゆるゆるだから、豪雨被害の対応は後手後手だ。気象庁が高知、愛媛両県に数十年に一度の重大な災害が予想される「大雨特別警報」を発令したのは、8日午前5時50分。すでに甚大な被害に見舞われた後で、愛媛県内の死亡者数は広島県に次ぎ、2番目に多い。


 気象庁は「大雨特別警報が遅すぎる」と批判を浴びているが、政権トップが弛緩しきっている悪影響は末端にも及ぶ。安倍が寝ずの番で気象庁に「しっかりやれ」とハッパをかけていれば、対応も変わっていたはずだ。


 全ての対応が後手後手で被害が拡大。かくも犠牲者が増えたのは、豪雨災害に無関心だった政権による人災の側面も色濃くにじむのだ。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。


「安倍政権は北朝鮮危機をあおり、5年連続で防衛予算を増やしてきましたが、過去最大5兆円超に膨らんだうち、わずかでも防災・減災に回していれば、豪雨被害はここまで拡大しなかったはずです。北朝鮮危機では一人も犠牲者は出ていませんが、ここ数年、立て続いた豪雨被害では多くの方が命を落としてきました。結局、首相にとっての『危機』とは政権維持と支持率向上に役立つものだけ。ゆがんだ危機意識によって、常日頃からの災害への備えが手薄となっているのです。『国民の生命を守り抜く』という掛け声も口先だけ。歴史的な災害には、歴史的にも万全な対策を講じるべきなのに、安倍政権の後手後手対応はそれこそ歴史に汚点を残す最悪なものです」


 安倍には14年8月の広島豪雨で土砂崩れを知りながら、2時間もゴルフを続けた前科もある。これ以上、口先保身政権に災害対応を任せるのは危うい。
(日刊ゲンダイ)
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