松尾篤興のブログ「閑話放題」

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法から、日本の政治まで、言いたい放題の無駄話。

安倍3選で現実味を増す “日本版リーマン・ショック”の到来

 


 リーマン・ショックから10年。世界経済を崩壊の淵まで追い込んだ金融危機が、今度は日本発で起こりそうな予感がする。日銀が“黒田バズーカ”を放ってから、5年以上。ゼロからマイナスに踏み込んだ異次元レベルの低金利政策に、日本の市中銀行はのたうち回っている。
 超低金利のおかげで、「利ざや」がちっとも稼げず、日本の銀行の収益率は今や1%を下回っている。とりわけ苦境に立たされているのが、地銀だ。全国の地銀106行の2018年3月期決算では、本業の儲けを示す実質業務純益が前期比5・1%減。個別で見れば、マイナス幅が2桁に上る地銀も少なくない。
 長崎県の親和銀行(佐世保市)を傘下に持つ、ふくおかFGと、長崎県最大手の十八銀行の経営統合が公正取引委員会に承認されたのも、金融庁の焦りがあればこそだ。
 統合後の融資シェアは同県内の約7割に達する。公取委は寡占化の弊害を懸念したが、地銀の収益低下に危機感を抱く金融庁は統合を後押し。その結果、独禁法抵触への疑義を挟んだ公取委よりも、金融庁の地銀の存続危機への懸念が勝った。
 今年4月には金融庁の有識者会議が、長崎県を含む23県では将来、地銀1行でも存続が難しくなるとの分析結果を公表した。今後は地銀同士のみならず、地方の信金や信組を巻き込んだ統合・合併が加速するのは間違いない。それだけ地方の金融機関の経営は追い込まれ、生き残るため、四苦八苦しているのだ。
 超低金利政策を続けても、黒田総裁のもくろみ通りに景気は上向かず、物価もてんで上昇しない。異次元緩和の黒田バズーカは、その名の通り金融システムの破壊効果しか生んでいない。
 聞き捨てならないのは、日本記者クラブ主催の総裁選討論会における安倍首相の発言だ。「デフレ脱却」や「2%の物価目標」を掲げたのは「日銀と協力をし」た結果である旨を言ってのけ、物価目標の未達については、黒田日銀に「しっかりと対応していただきたい」と注文をつけた。
 金融システムの軸心である中央銀行は、時の政治権力と一線を画す存在でなければいけない。安倍首相の発言は「中央銀行の中立性」という基本をわきまえていない。
 スルガ銀は氷山の一角で、あちこちの地銀でも存続をかけ、不正融資が横行していても、おかしくない。それらが一気に噴出すれば日本版リーマン・ショックの到来だ。
 不正に走らなければ、生き残れない状況に地銀を追い込んだ責任はまず黒田総裁にあり、結局は安倍首相に行き着く。その点を石破元幹事長には総裁選で追及して欲しかった。安倍3選で日本経済はとてつもない事態を迎えることになるだろう。
(日刊ゲンダイ)
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