Matsuo Atsuokiのブログ

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なぜ庶民は怒らないのか 「死ぬまで働け」という安倍政治

        


「1億総活躍」「働き方改革」「全世代型社会保障」――。薄っぺらいスローガンの下、この国は有史以来初めて、誰もが70歳まで賃金労働者として働く社会に突入しようとしている。


 政府は5日、首相官邸で内閣改造後初の「未来投資会議」を開き、新たな成長戦略の基本方針を提示した。議長を務める安倍首相は方針の柱に「全世代型社会保障」の構築を掲げ、こう宣言してみせた。


「生涯現役社会の実現に向け、65歳以上への継続雇用年齢の引き上げに向けた検討を開始する」


「生涯現役社会」といえば聞こえはいいが、要は「死ぬまで働け」と大号令を発したのに等しい。すでに企業には65歳までの希望者の雇用延長が義務づけられている。いくつかの企業が65歳定年制の導入を模索する中、その頭越しに法を改めて継続雇用年齢を「65歳以上に延ばせ」とは、ずいぶんと乱暴な話だ。


 雇用延長は当然、年金支給開始年齢の引き上げとワンセットだ。4月の財務省「財政制度等審議会」の資料には〈支給開始年齢の引き上げは高齢就労を促進する〉とある。年金支給を渋れば働くしかない――。つまり、いずれ高齢者となる働き盛り世代への“兵糧攻め”といっていい。


 制度発足当初は55歳だった年金の支給開始年齢は段階的に引き上げられ、2025年には完全に65歳からとなる(女性は30年から)。


 現行は繰り下げ受給により、70歳まで遅らせることができるが、今年2月に閣議決定された「高齢社会対策大綱」は70歳を超えても可能になるよう検討を求めていた。これも安倍の意向で、これまでの支給引き上げの経緯を見れば、受給開始70歳超の選択制は「70歳支給開始」への布石に他ならない。


 自民党総裁選の討論会でも、安倍は「生涯現役であれば、70歳を超えても受給開始年齢を選択可能にしていく。そういう仕組みづくりを3年で断行したい」と豪語していた。なるほど、きのうの会議でも安倍は「全世代型社会保障」について、「年末までに中間報告をまとめ、3年間の工程表を含む実行計画を来年夏までに閣議決定する」と約束した。


 定年後は孫を抱いて悠々自適の年金生活なんて、過去のもの。安倍の意向に沿って、誰もが70歳まで働かされる社会を急ピッチで迎えようとしているのだ。


*年金私物化の首相に支給引き上げの資格なし


 安倍は2日夜、内閣改造後の初閣議で「国難とも呼ぶべき少子高齢化」を政権の課題に掲げた。今になって突然、少子高齢化を「国難」に位置づけ、「生涯現役社会」「全世代型社会保障」を隠れ蓑に年金の支給開始を遅らせるとは悪辣だ。


 厚生年金の標準的な受給額は月額約22万円(夫婦2人の場合)。70歳まで5年間の損失は、単純計算で総額約1320万円に上る。その分を補うため、誰もが70歳まで働かされるなんて、冗談ではない。労働法制に詳しい法大名誉教授の五十嵐仁氏はこう言った。 


「過去15年の歴代政権は『100年安心』の年金制度を掲げ、第1次政権時代に安倍首相は『消えた年金』について『最後の1人まで支払う』と約束しました。ところが、第2次政権以降は3党合意の『社会保障と税の一体改革』を棚上げ、消費増税も2度先延ばし。年金財政の逼迫を長年放置した揚げ句、支給開始を遅らせる。その分を雇用延長で民間企業に肩代わりさせるとは、責任放棄も甚だしい。安倍首相は、未来投資会議の関係閣僚に盟友や“茶坊主”を寄せ集め、“やっている感”のアピールに余念がありませんが、ダマされてはいけません」


年金私物化の首相に支給引き上げの資格なし


 安倍は2日夜、内閣改造後の初閣議で「国難とも呼ぶべき少子高齢化」を政権の課題に掲げた。今になって突然、少子高齢化を「国難」に位置づけ、「生涯現役社会」「全世代型社会保障」を隠れ蓑に年金の支給開始を遅らせるとは悪辣だ。


 厚生年金の標準的な受給額は月額約22万円(夫婦2人の場合)。70歳まで5年間の損失は、単純計算で総額約1320万円に上る。その分を補うため、誰もが70歳まで働かされるなんて、冗談ではない。労働法制に詳しい法大名誉教授の五十嵐仁氏はこう言った。 


「過去15年の歴代政権は『100年安心』の年金制度を掲げ、第1次政権時代に安倍首相は『消えた年金』について『最後の1人まで支払う』と約束しました。ところが、第2次政権以降は3党合意の『社会保障と税の一体改革』を棚上げ、消費増税も2度先延ばし。年金財政の逼迫を長年放置した揚げ句、支給開始を遅らせる。その分を雇用延長で民間企業に肩代わりさせるとは、責任放棄も甚だしい。安倍首相は、未来投資会議の関係閣僚に盟友や“茶坊主”を寄せ集め、“やっている感”のアピールに余念がありませんが、ダマされてはいけません」


 安倍の「死ぬまで働け」宣言は年金財政をメタメタにした末のとてつもない最後っ屁なのだ。


■AIや外国人と雇用を奪い合う過酷な競争


 雇用延長といっても、その給与は現役時代の半分から3分の1程度が実情だが、年金は給与所得を理由にカット。それでも同じ職場にいられればマシな方で、子会社の食堂の店長など従来のキャリア度外視の職場に回される人もいる。


 現場責任者にとっても、70歳近い部下は扱いづらいし、使われる身のベテラン側もかつての部下の指示に唯々諾々とは従いにくい。「死ぬまで働け」社会は世代間対立によって、これまで以上に職場がギクシャクしかねない。


 さらに追い打ちをかけるのが、安倍政権が推し進めるAI(人工知能)化と、外国人雇用受け入れ拡大への大転換である。


 きのうの未来投資会議で、安倍は「第4次産業革命」として「人工知能やロボットなどの推進」も成長戦略の柱に掲げた。また最近は、原則認めてこなかった単純労働に門戸を開き、外国人労働者を受け入れ、25年までに50万人の就労を目指している。経済ジャーナリストの荻原博子氏はこう言う。


「70歳まで働こうにも、この先はAIやロボットに仕事を奪われ、50万人の外国人労働者と雇用を競い合うのです。外国人にすれば日本の給料は高給ですから、多少過酷な仕事でも喜んで就く。そうなると、激しい給料値下げ競争にさらされる危険性もあります。元気な高齢者が意欲を持って働けるのは『働きがい』があればこそ。安倍政権の政策だと、70歳まで年金が受け取れないから『嫌々働かされる』社会になってしまう。安倍政権にすれば『安い労働力の確保』と『年金財政の破綻回避』の一石二鳥ですが、65歳での年金受給をアテにしてきた働き盛り世代にすれば、踏んだり蹴ったりです」


■低賃金の過酷な老後を強いられる


 そもそも安倍は「死ぬまで働け」社会を国民に押しつけるなら、アベノミクスの失政をわび、内閣総辞職がスジだ。


 異次元緩和のマイナス金利政策の副作用で厚生年金基金の運用は行き詰まり、解散や代行返上が相次いでいる。それでも安倍は年金積立金の株式運用比率を拡大し、昨年度末までに時価総額ベースで40兆円もの年金積立金を“鉄火場”にジャンジャンつぎ込んできた。


「安倍首相の振る舞いは、虎の子の老後資金の私物化です。年金積立金を株価維持策に流用し、支持率キープの材料に使ってきた首相に、年金の受給開始を遅らせる資格はありません」(荻原博子氏=前出)


 時の政府が「年金を払えないから、70歳まで働け」との姿勢を示せば、日本以外の国なら確実に暴動が起きる。実際にロシアでは今年、男性の年金支給開始年齢を60歳から65歳、女性は55歳から63歳に引き上げる案に国民は猛反発。各地で大規模デモが頻発し、「プーチンは泥棒だ」「皇帝のように追放しよう」と激しいシュプレヒコールが沸きあがった。


 ついには地方の年金事務所に爆発物が投げ込まれるテロ行為まで発生。約70%と圧倒的高水準を誇ったプーチン大統領の支持率も10ポイント以上も急落したのだ。


 ロシアを見習えとは言わないが、ああ、なんと、日本人は安倍暴政におとなしいことか。まるで羊のようである。


「内閣支持率を年代別で見ると、すでに年金を受給している60代以上の“アベ離れ”は進んでいますが、40~50代は依然、支持率が高い。年頃の子どもを抱えて会社人生も長くなった、この世代こそ『死ぬまで働け社会』で最も割を食うのです。この働き盛り世代が、安倍政権にもっと異議を申し立てなければ、いいように痛めつけられるだけです」(五十嵐仁氏=前出)


「人生100年、死ぬまで働け社会」を生き延びられるのは、安倍のように資産に恵まれたホンの一握りだけ。大半の人は70歳まで現役時代の半分以下の給与で過酷な生活をしのぐ必要に迫られる。そんな社会を本気で受け入れるのか。働き盛りの国民は考え時だ。
(日刊ゲンダイ)
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