松尾篤興のブログ「閑話放題」

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法から、日本の政治まで、言いたい放題の無駄話。

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分科会に浮上「Go To トラベル」前倒し実施に重大瑕疵疑惑

  


 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。政府の方針はワケがわからなくなっている。安倍首相は「重症者や死者は少ない」「医療体制は逼迫していない」と言い、「緊急事態宣言を直ちに出す状況ではない」と繰り返している。コロナ担当の西村経済再生相はお盆の帰省について「慎重に考えないといけない」と言っていたが、「Go To トラベル」の旗を振る菅官房長官は「一律の自粛を求めるものではない」と一蹴。西村は従う形になった。分科会の尾身茂会長の発言も意味不明だ。感染対策が徹底できない場合は「オンラインか延期を」と言っていたが、一体それを誰が判断するのか。結局のところ、国民に対し、感染すれば自己責任と言っているに等しい。
 無責任体質はさらに根が深い。
 国立感染症研究所が5日、「新型コロナウイルスSARS-CoV-2のゲノム分子疫学調査2」を公表した。感染研病原体ゲノム解析研究センター長の黒田誠氏が新型コロナのゲノム配列を分析したものだ。それによると、初期に武漢型、3月に欧州型が流行し、その後は地域固有のクラスターが発生。3カ月の空白を経て、軽症者もしくは無症状者がひそかにつないだ感染リンクが足元で一気に顕在化したと推測されるという。つまり、東京由来のウイルスを検査せずに放置した結果、全国に拡散してしまったのだ。
 問題はとりまとめた「7月16日」の日付。この日、東大先端科学技術研究センターの児玉龍彦名誉教授が閉会中審査(参院予算委員会)に参考人として出席し、東京発や埼玉発のウイルスの発生を指摘。陽性率の高さから、新宿を中心に都内がエピセンター(感染震源地)と化していると警告を発した。感染研がこの段階で東京発ウイルスが全国に拡散しているとのデータをまとめていたのなら、感染研の脇田隆字所長が知らないはずはない。脇田氏がメンバーの分科会でも情報共有されていた可能性もある。にもかかわらず、「Go To」の前倒し実施にOKを出していたのなら、極めて重大な瑕疵になるのではないか。
 感染研はクルーズ船の食事係乗員の感染を把握しながら隔離も下船もさせず、船内感染を招いた。その観察記録を米疾病対策センター(CDC)の週報に投稿している。まるで人体実験論文だ。今度はそれを「Go To」で繰り返しているのだ。地域で徹底したPCR検査をしなければ、今度は日本列島全体がクルーズ船化してしまうだろう。
(日刊ゲンダイ・金子勝)
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