松尾篤興のブログ「閑話放題」

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法から、日本の政治まで、言いたい放題の無駄話。

囁かれる二度目のブン投げ説 安倍政権は五輪まで持つのか

  


 息を吐くようにウソをつく安倍首相に特大のブーメランが直撃している。桜疑惑をめぐり、鉄壁だったウソが崩壊。危機管理のアベを売りにしていたのに、新型コロナウイルス対応はメチャクチャ。自信満々だった水際対策に大失敗し、日本は中国に次ぐ感染大国だ。そして、最悪のタイミングで強行した消費増税が日本経済にトドメを刺そうとしている。データ改ざんを重ねれば、好景気を演出し続けられるとタカをくくっていたのだろうか。今年の最大トピックスの東京五輪開催まで5カ月。こんな無能・醜悪内閣が五輪まで持つのか。
 安倍のウソの壁を突き崩したのは、立憲民主党の辻元清美衆院議員だ。桜疑惑をめぐり、17日の衆院予算委員会で「桜を見る会」の前夜祭として会費5000円で開催された夕食会について追及。会場のひとつだったANAインターコンチネンタルホテルの回答を突きつけ、安倍をウソの上塗りに追い込んだ。
 安倍はこれまで「主催は安倍後援会だが、ホテルへの支払いは契約主体である参加者個人」「夕食会の明細書はホテルから受け取っていない」「安倍事務所職員が参加者から会費を集めてホテルにまとめて渡し、ホテルが宛名が空欄の領収書を発行」などと説明していた。
 ところが、ホテル側の説明は請求明細書を発行しなかったことは「ございません」、宛名が空欄の領収書発行は「ございません」。「代金は主催者からまとめてお支払いいただく」とし、安倍の国会答弁と明らかに食い違う。安倍の答弁はどんどん迷走し、午前中は「宛名なしの領収書を発行したということで間違いない」と言い切っていたのが、午後には「領収書は一般的に宛名は『上様』として発行する場合があり、夕食会でも『上様』としていた可能性はあるとのことだ」と軌道修正。その上、「私の事務所が全日空ホテル(ANAホテル)に確認したところ、辻元議員にはあくまで一般論で答え、個別案件は営業の秘密に関わるため回答には含まれていないとのことだ。明細書等の発行は受けていない」と釈明した。それに対し、ANAホテルは一部メディアの取材にメールで回答。そこにはこう記されていた。
〈直接(首相側と)話をした者が「一般論として答えた」という説明をしたが、例外があったとはお答えしていない。私共が「個別の案件については、営業の秘密にかかわるため回答には含まれていない」と申し上げた事実はない〉
 アベ答弁を重ねて否定したのだ。政治ジャーナリストの角谷浩一氏は言う。
「桜、新型コロナ、景気。安倍首相にこの3点セットが効いているのは間違いない。珍しいやり方ですが、野党が安倍首相にANAホテルとのやりとりを書面で国会に出すように求めたのはうまい手。安倍首相がかたくなに拒んでいるのは、不都合な事実があるからでしょう。極めて恣意的な検察人事も問題になっているように、安倍政権はこれまで都合のいい人物、思い通りに動く官僚を重用して無理を押し通してきた。憲法学者や世論も大反発した安保法制をまとめるために、法の番人である内閣法制局長官に息のかかった人物を据え、強行採決に突っ走りました。そうしたやり方はついに通用しなくなった」
 先月15日に上陸した新型コロナは感染拡大の一途だ。水際対策と称して横浜港に停泊させたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で船内感染が蔓延。立ち入った医療関係者まで感染した。検査態勢の拡充でモタついたことで、市中感染も広がる。感染経路が特定できなくなる事態に陥り、すでに数千人の感染者がいるとの指摘もある。そうであれば、人口比率でみれば感染率は中国と同レベルだ。
「政府の対応は間違っていたのではないか。安倍首相と茂木外相は武漢から邦人を退避させるチャーター機を5便飛ばしたとドヤ顔ですが、いまや日本から自国民を脱出させる各国のチャーター機が次々に出入りしている。危機管理の甘い日本は世界の不信の的。とりわけ米国は怒り狂っています。〈国民の生命と財産を守る〉が常套句の安倍首相は二言目には〈先手先手で対策〉と言いますが、災害や病気などに関心を示さない。軍事的な安全保障にだけ前のめりなのがハッキリしました」(角谷浩一氏=前出)


*消費増税影響は半永久的に続く
 7年超えの安倍政権の無策で経済はメタメタだ。2019年10~12月期のGDP1次速報は、実質(季節調整値)で前期比1・6%減。年率換算で6・3%減で、悪化幅は市場予想の約4%を大きく上回った。マイナス成長は5四半期ぶりで、消費税が8%に引き上げられた直後の14年4~6月期の7・4%減に迫る大幅後退だ。経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「昨年10月は消費増税してはいけない時期でした。景気動向指数は8月から『悪化』が続き、景気後退を示唆していた。政権は軽減税率やキャッシュレス決済へのポイント還元、幼児教育・保育無償化などの手を打ったので影響は抑えられるとアナウンスしていますが、デタラメです。基本認識がズレています。幼保無償化の対象は全体の1割足らず。子育て世帯ですから、浮いたお金は将来に備えた貯蓄に回り、消費の喚起にはつながっていません。一方、増税をモロに受ける国民は賃金や年金支給額の減少も重なり、2%以上の物価上昇に直面している。駆け込み需要についての説明もトンチンカン。19年7~9月期に大きな動きは見られず、10~12月期の反動減は小さいとしている。しかし、実態は改元に伴う史上最長の10連休で出費する家庭が多く、7~9月期は駆け込み需要がのみ込まれるほど反動減だったのです」
 政府は先月、経済政策の土台となる19年度の成長率見通しを「実質0・9%程度」と閣議決定したが、実現には今年1~3月期の実質GDPが年率8・6%の高成長となる必要がある。どう考えても不可能だし、ただでさえ新型コロナ禍にも襲われている。日本経済研究センターが民間エコノミストの試算をまとめたところ、新型肺炎拡大で1~3月期の実質GDP押し下げ効果は平均で年率0・46%分だという。


■五輪消滅でトリプルパンチ
「消費増税の影響は半永久的に続きます。その上、新型コロナ対策の一環で政府は不要不急の外出を控えるよう呼び掛け、大企業はテレワークを進めている。家に籠もる人が増えれば、消費は冷え込む。実質GDPの2期連続マイナスは避けられません。タイムリミットは遅くとも3月。それまでに感染が終息に向かっていなければ、IOC(国際オリンピック委員会)は東京五輪開催に待ったをかけるのではないか。五輪がスッ飛べば、4~6月期のダメージは大きく、20年の日本経済はガタガタになります。政府が新型コロナを過小評価した、とんでもないツケは国民に回ってくる」(斎藤満氏=前出)
 肺炎対応では後手後手に回り、消費増税で日本経済の息の根を止め、8割の有権者が政治不信を感じている。朝日新聞の世論調査(15、16日実施)では、桜疑惑をめぐる安倍の説明に「納得できない」との回答が71%に上った。政権寄りの読売新聞の調査(14~16日実施)でも「納得していない」が74%で、共同通信の調査(15、16日実施)では「十分にしていると思わない」が84・5%を占めた。内閣支持率は軒並み下落だ。
 この先、上がり目がないアベ政治が今後も続けば日本はお陀仏だ。本人もそれは百も承知なんじゃないか。再度の政権ブン投げ説が囁かれ始めている。第1次政権は参院選大敗がダメ押しとなり、所信表明演説をした直後に突如辞任。ストレスが大敵の持病の潰瘍性大腸炎が悪化し、逃げるように入院した。最近の安倍は寝癖のまま国会に出てきたり、野党の追及にいつも以上に気色ばみ、ヤジが止まらなくなっている。ANAホテルをめぐるやりとりは、安倍に分がないことは明らかなのにムキになり、早口で新たなウソを並べ立てる。口が乾くのか、喉が渇くのか、持参の水筒に頻繁に手を伸ばしている。健康不安があるのなら、即刻退陣するのが本人のため、国のため。潮時だ。
(日刊ゲンダイ)
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