松尾篤興のブログ「閑話放題」

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法から、日本の政治まで、言いたい放題の無駄話。

何もかも辻褄が合わなくなってきたのは「政権末期」の兆し

  


 金融庁が3日に発表した「老後を年金に頼るのは無理なので、夫婦で95歳まで生きるつもりなら2000万円の金融資産を自分で用意しろ」という趣旨の報告書が大きな波紋を呼んでいる。枝野幸男立憲民主党代表は、「そんな貯蓄ができない人たちが圧倒的多数であり、それをどうするのかが政治の仕事だという自覚が、麻生金融担当相には全くない。この姿勢そのものが参院選の最大の争点だ」と語っているが、その通りだろう。
 考えてもみよう。今から15年前、第2次小泉内閣の売り文句が「年金100年安心」で、その時の自民党幹事長は安倍晋三である。ところが5年も経たないうちに早くも「安心」が怪しくなって、民主党政権は年金はじめ社会保障改革のための財源確保と財政の再建をどう両立させるかという難問に取り組まざるを得なくなった。それで生まれたのが、野田政権下での「社会保障と税の一体改革」のための自公民3党合意で、消費税を14年に8%に、15年に10%にアップして、それを主として社会保障の改革に注ぐ方向を打ち出した。
 野田政権は12年末の総選挙で惨敗し、第2次安倍政権が成立したが、もちろん3党合意は有効で、同政権もそれに拘束されている。そこで安倍は約束通り14年4月に消費税を8%に上げたものの、それを景気面から支えるアベノミクスは何の成果も生んでおらず、またそれでも耐え忍ぶに必要な年金はじめ老後の暮らしへの「安心」は何ら確保されていなかったので、この増税はマイナス面ばかりが目立ってしまった。
 それですっかり懲りた安倍は、10%への増税を2度も延期し、3党合意を裏切り続けてきた。その揚げ句に生じたのが今の事態である。
 3度目の消費増税延期を言い出すことは、いくら何でもできない。それを支えるだけの景気をアベノミクスがつくり出すことに失敗したと自ら認めるに等しいからだ。そこで、増税分を活用してどのようにして社会保障を充実させ、財政を再建して「安心」できる世の中を実現できるのかを示して参院選を戦わなければならないが、その矢先に、政府自身の一角から「年金なんかアテにしてもダメだよ」という声が上がってしまったのだから、どうにもならない。
 このようにして何もかもが辻褄が合わなくなっていくところに、政権末期の兆しが表れている。
(日刊ゲンダイ・高野孟)
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