松尾篤興のブログ「閑話放題」

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法から、日本の政治まで、言いたい放題の無駄話。

「権力私物化」タガ外れた 白昼堂々「花見買収」の世も末


 森友・加計学園問題以上の大スキャンダルに発展する可能性が出てきた。安倍首相が主催し、毎年春に都内の新宿御苑で開かれている「桜を見る会」をめぐる“花見買収”問題のことだ。
 立憲、国民、共産、社民の野党4党は12日、国会内で追及チームの初会合を開いたが、現時点で問われている問題は2つ。
「桜を見る会」の招待客は〈国会議員、都道府県知事、議長をはじめ、各界において功績・功労のあった方々〉と規定されているにもかかわらず、安倍や自民党議員の支援者が目立ち、それぞれが自分の後援会活動に利用していたのではないかという「公金私物化・買収疑惑」と、「桜を見る会」の前夜に安倍後援会によるパーティーが毎回、都内のホテルで開かれているのに、政治資金収支報告書に一切の記載がない「首相自身による公選法、政治資金規正法違反疑惑」だ。
 自民党の二階幹事長は12日の会見で、「(首相枠が)あっても別にいい。特別、問題になるのか」「選挙区の皆さんに配慮するのは当然だ」などと開き直っていたが冗談ではない。
 公選法では選挙区内の有権者に対する寄付行為は一発アウト。つい先日、菅原前経産相が大臣を辞任したのも、公設秘書が地元支援者に香典を手渡していた疑惑が理由だ。辞任を受けて「責任を痛感している」と言っていた任命権者の安倍自身が、白昼堂々、血税で有権者を“買収”していたなんて菅原辞任のケースよりもよっぽど悪質だろう。


■慌てて関連ブログを削除する自民党関係者
「(功績のある)自治会、PTAなどの役員と、後援会の人が重複することも当然ある」
 招待客の功績を問われた安倍は8日の参院予算委でこう言い放っていたが、功績の対象者に自治会やPTA役員まで含めるのであれば、「桜を見る会」の出席者数は数十万、数百万人規模に膨れ上がるだろう。
 誰が聞いても不自然極まりない答弁なのに、悪びれた様子もないまま平然としている姿を見ると、もはや善悪の区別すらつかなくなっているといっていい。
 驕る権力者に擦り寄る仲間たちも仲間たちだ。招待の意味を考えもせず、ホテルの前夜祭でバカ騒ぎし、花見の当日は安倍と写真を撮って「わが世の春」を謳歌。何らやましいことだと思っていないから平気でブログに公開してきたワケだ。
 今ごろ、大慌てで記述を削除しているが、後の祭り。官邸が公開している2017年4月15日付の「桜を見る会」の映像では、開始から7分ほど経った場面で、安倍が世耕参院幹事長に話し掛けるシーンが撮影されている。
「ひまわり会?」(安倍)
「ひまわり会です。今年は副長官ではなくなったので『招待枠』で」(世耕)
「ひまわり会」とは世耕の支持者団体のこと。つまり、自民党議員は自分の政治活動、後援会活動の一環として、ごく当たり前に「桜を見る会」の招待枠を使ってきたワケで、安倍自身も「知っていた」のは疑いようがない。政治アナリストの伊藤惇夫氏がこう言う。
「本来の会の趣旨から逸脱し、公費を使った政権PRの道具にされていた疑いが強いのは言うまでもない。国会議員の招待枠は慣例的にあったとはいえ、せいぜい5人程度。安倍首相の850人というのは論外です。野党の追及次第では『アリの一穴』になる可能性は十分あります」


■正義が通用しない狂気政権の長期化がすべての問題の根源にある
〈「桜を見る会」には複数の層があります。(1)公金を私的な後援会活動に利用したこと(2)その違法性を指摘されても適当に言い逃れられると思っていたこと(3)批判を浴びても「官邸周辺はいかなる違法行為をしても処罰されない」という「いつものオチ」に持ち込んで安倍政権の磐石ぶりを誇示すること〉
〈この政権の罪は「悪いことをしたこと」ではなく「悪いことをしても処罰されない/公共財を私物化できるクラスターが存在する」という信憑を7年かけて国民に刷り込んだことです。少なからぬ国民が「だったらそのクラスターの末席に自分も加わりたい」と思うようになった〉
 思想家で神戸女学院大名誉教授の内田樹氏はこうツイートしていたが、まさに正鵠を射た指摘だ。安倍政権に擦り寄る連中は、ヨイショさえしていれば、何をやっても許されると本気で考えているのだろう。
 それもそうだ。モリカケ疑惑では、公文書改ざんや虚偽答弁が次々と明らかになったにもかかわらず、誰も責任を取らない。真っ昼間の大臣室で贈収賄まがいのワイロを受け取っても、パソコンをドリルでぶっ壊して証拠隠滅を図っても司法はピクリとも動かない。
 これじゃあ権力がやりたい放題、悪事がエスカレートするワケで、法治国家でも民主主義国家でもない。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏がこう言う。
「モリカケ問題と同じパターンで、政権側は悪事がバレたらトボケ、現場に責任を押し付けて知らん顔。現場は現場で書類を廃棄した、の一点張りで逃げ回る構図。そうしたら菅長官が招待客の選定基準の明確化を検討すると言い始めた。おそらく、これで幕引きを図るつもりでしょう」
 まるでタガが外れた独裁国家の姿だ。


■安倍政権の暴走を許してきた司法とメディア
 違法行為・不祥事潰しは安倍政権の「お家芸」とはいえ、これほど傍若無人になったのも、警察とメディアが見て見ぬフリをしてきたからだろう。
 第2次安倍政権発足後、支出額は2倍近くになり、自民党支持者ばかりが増え続ける「桜を見る会」だって、フツーなら「おかしい」と気付くはずだが、「首相動静」を確認すると、毎年、冒頭には警視総監や警視庁幹部と安倍夫婦との記念写真が必ずセットされていたことが分かる。
 法律違反を犯している可能性がある政治家夫婦の隣で警察幹部がニンマリ笑いながら写真撮影なんて、ヤクザの親分と警官が一緒に写ったスキャンダル写真と変わらない。
「週刊文春」は法相を辞任した河井衆院議員が大臣在任中、秘書が運転する車が高速道路を60キロオーバーで走行し、後続の広島県警の車両がスピード違反を見逃していたことを報じていたが、上層部がこれでは、現場だって動くに動けない。無法国家になるワケだ。
 メディアも「桜を見る会」を初春の恒例イベントのように報じていたが、大勢の芸能人と一緒に大はしゃぎする安倍の姿に違和感を覚える記者はいなかったのか。今からだって遅くない。ワイドショーには招待された芸人も並んでいるのだから、「公金私物化」について問いただすべきだろう。
 選挙報道をめぐって自民党にドーカツされても抗議すらせず、上層部が安倍と頻繁に食事する“メシ友”じゃあ、フヌケ記者ばかりになるのも無理もないが、悪事ばかりの安倍内閣の支持率が5割前後と安泰を維持しているのは、メディアのテイタラクも原因なのだ。政治評論家の森田実氏がこう言う。
「違法行為を指摘されている当事者が『知らない』と言い、取り巻きが『正しい』と肯定する。まったく正義が通用しない。狂気性を持ったワンマン政権の長期化がすべての問題の根源でしょう。このままだと日本国家、社会が腐ってしまいます」
 国民も、やれラグビーW杯だ、五輪マラソン開催地が変更だ、なんて話に大騒ぎしている場合じゃない。前代未聞の総理大臣による“公金買収疑惑”が指摘されていること自体が「世も末」の状況だと自覚した方がいい。
(日刊ゲンダイ)
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