松尾篤興のブログ「閑話放題」

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法から、日本の政治まで、言いたい放題の無駄話。

支持率に上がり目なし 視野に入ってきた2020年安倍退陣


 下落がどうにも止まらない。報道各社の世論調査で内閣支持率が軒並み下がっているが、ついに40%を割り込み始めた。
 朝日新聞が21、22日に実施した世論調査で、安倍内閣の支持率は38%。前回の11月調査から6ポイントの下落だ。不支持率は42%(前回36%)と、1年ぶりに支持率と逆転した。
 安倍首相主催の「桜を見る会」については、招待者の名簿は廃棄して復元できないと説明する政府の対応に76%が「納得できない」と答え、「納得できる」の13%を大きく上回った。自民支持層でも「納得できない」は66%に上った。
「支持率下落の最大の要因が『桜を見る会』の問題にあることは明らかです。伝統ある行事を私物化し、公費で支援者を接待して選挙対策に利用していた破廉恥ぶりには呆れるしかない。その上、反社会的勢力や被害者が多発したマルチ商法の親玉まで招待していたわけで、その説明責任も果たさずに逃げ回る姿を見て、まだ3割もの人が支持していることの方が驚きです。自分のスキャンダル隠しのために国民の財産である公文書を隠蔽し、官僚に嘘をつかせ、自分も口から出まかせばかり言って有権者をダマそうとする。そんな人物に国政を任せられないと気づいた人は少なくないはずです。外交でも、裏でとんでもない約束をして国民に隠しているかもしれない。桜を見る会の問題では、安倍首相の人間性が問われているのです」(政治評論家・本澤二郎氏)
 世論調査の「次の首相」で安倍に批判的な姿勢を貫いてきた石破元幹事長が首位を総ナメにしているのも、安倍不信の表れだろう。


■支持率回復の楽観論はナメすぎ
 それでも、安倍の周辺からは「国民はすぐ忘れる」と楽観視する声が聞こえてくる。これまでも、安保法制やモリカケ問題などで支持率が下落したことがあったが、一過性に終わり、時間が経てば盛り返してきた経験則からだ。臨時国会は逃げまくって閉幕にこぎつけたから、もう大丈夫とタカをくくっている。年末年始はテレビ番組もバラエティー特番ばかりだから、政治ニュースで「桜」が扱われる機会もなくなる。年が明ければ気分も一新、桜なんて過去の話になっているというわけだ。
「今回ばかりは、そんな思惑通りにはいかないでしょう。国民をバカにするのもいい加減にすべきです。ここへきて、“首相ベッタリ記者”こと元TBSワシントン支局長の山口敬之氏のレイプ事件もみ消し疑惑が再燃していることも、政権にとっては大誤算だと思う。
 この事件はこれまでテレビで大々的に報じられることはなかったが、民事訴訟でレイプを認定する判決が出たことによって報道され、多くの人が知るところになりました。首相のオトモダチだから逮捕されず、不起訴になったのではないか。オトモダチ優遇と政治の私物化によって、警察行政も司法も歪められたのではないか。そういう疑念は、どうしても『桜を見る会』と関連づけて考えられてしまう。首相周辺は来年1月に召集する通常国会の冒頭で、大型補正予算を成立させたら衆院を解散するというプランも検討したようですが、とても解散を打てるような状況ではありません」(本澤二郎氏=前出)
 17年にも、モリカケで追い込まれた安倍は北朝鮮ミサイルを理由に「国難突破」とか言って局面打開の解散に打って出た。同じ手法で桜を蹴散らそうと考えたわけだ。


■五輪開催の首相は年内に退陣のジンクスもある
 秋の臨時国会では受験生そっちのけの利権で動いていた大学入試改革のデタラメが露呈し、24日は、美人官僚との不倫デート報道もあった和泉首相補佐官が電源開発に便宜供与をチラつかせて沖縄・高江の米軍ヘリパッド建設への協力をねじ込んでいた件も発覚。長期独裁政権の弊害が次々と明らかになり、安倍の人間性に対して不信感が渦巻いている現状では、解散で大幅に議席を失う可能性が高い。1月解散は、かなり“あり得る”シナリオだったが、選挙に勝って4選をうかがう安倍にとって、それは最悪の選択肢になってしまった。
「現衆院議員の任期は21年10月21日まで。安倍首相の総裁任期は同年9月末までです。その間に解散を打てるタイミングは、実はそう多くはない。1月の通常国会冒頭が無理だと、次は東京五輪後というのが大方の見立てですが、目下の支持率低下を見ると、五輪まで政権が持つかも微妙な情勢になっている。桜を見る会の問題で、自民党支持層が怒っているからです。
 年明けからは消費税10%の悪影響がどんどん経済指標にも表れてくるし、外交での無定見も隠せなくなってきた。今後の上がり目はなく、年末年始の地元回りで突き上げられた自民党議員から『もう安倍さんではダメだ』という声が大きくなれば、解散を打てないまま退陣に追い込まれることは十分に考えられる。五輪までは何とか持たせて、それを花道に退陣という話も党内で囁かれています」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
 政府・与党は通常国会を1月20日に召集する方針を確認。この日程では、冒頭解散はないとみられる。会期は150日だから6月17日までで、翌18日からは東京都知事選が始まるため、会期延長も難しい。都知事選が終われば、すぐ東京五輪だ。そこまで安倍が続けたところで、残り任期1年を切る安倍のレームダック化は避けられない。


■岩盤支持層も離反し始めた
 安倍に近い議員の中には「五輪直後の解散なら、イベントの高揚感と“オールジャパン”的なムードで安倍政権に支持が集まり有利な総選挙になる。そこで勝利すれば総裁4選だ」などと戯言を口にする手合いもいるが、逆だろう。
 安倍政権が続いていれば、東京五輪直後の8月24日に連続在職日数でも大叔父の佐藤栄作を抜き歴代単独1位になる。もう十分に長くやったし、マリオに扮して笑いものになってまで楽しみにしていた五輪のホスト役も務め、思い残すこともないでしょう。ひと区切りついたし、長期政権で何ひとつレガシーを残せず、増税を押し付けて国の借金を増やしただけの無能首相には、ここらでお引き取り願いたい――そんな空気が蔓延している可能性の方が高いのだ。
「憲法改正で支持層を引っ張ることも難しくなっている。桜疑惑から逃げるために臨時国会をさっさと閉め、改憲の一里塚である国民投票法の改正にこぎ着けられなかった。これで総裁任期中の改憲は絶望的です。保身のために改憲を捨てたことで本気度が疑われ、“改憲やるやる詐欺”だったことが支持層にバレつつある。
 支持基盤の右派は来年4月に中国の習近平国家主席を国賓で迎える計画に反発。米国のトランプ大統領が秋の大統領選で劣勢となれば、第1次政権と同じように自ら投げ出す可能性もあります。4選はもはや夢物語でしかなく、五輪後に禅譲してキングメーカーになるシナリオも現実味が薄れている。日本で五輪が開催された年には、首相が必ず退陣するというジンクスもあります」(山田厚俊氏=前出)
 1964年の東京五輪では池田勇人首相が閉会式翌日に病気療養での退陣を表明。72年2月の札幌冬季五輪は佐藤栄作の8年近くに及ぶ長期政権の末期で、同年5月の沖縄の本土復帰を花道に7月に総辞職。98年2月の長野冬季五輪当時の首相だった橋本龍太郎は、5カ月後の参院選で大敗して総辞職した。前年4月の消費増税も影響した。
 あらゆるシナリオが狂って袋小路の安倍も同じ道をたどりそうだが、それも自業自得というものだ。
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