松尾篤興のブログ「閑話放題」

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法から、日本の政治まで、言いたい放題の無駄話。

リストラ加速へ 異次元に突入“新型コロナ”地獄の今後<上>

   


日本の感染率の低さは本当なのか、ラッキーなのか、今後はどうなる?
 WHO(世界保健機関)がパンデミック認定した新型コロナウイルスをめぐり、安倍首相は14日、先月29日以来の会見を開いたが、全国民に広がる不安と謎はますます深まったのではないか。
「皆さんの活気あふれる笑顔を取り戻す」「世界が手を携えれば乗り越えられない困難などない」などとまたも情緒的で、「前例にとらわれない」「間髪入れず」「一気呵成に思い切った措置を講じる」と威勢のいい言葉を吐くものの、具体的な説明はゼロ。
 この期に及んで、「人口1万人当たりの感染者数を比べると、わが国は0・06人にとどまっており、韓国、中国のほか、イタリアをはじめ、欧州では13カ国、イランなど中東3カ国よりも少ないレベルに抑えることができている」と胸を張ったが、その数字は欺瞞に満ちている。
 根拠が示されなかった「0・06人」はおそらく、集団感染を発生させた「クルーズ船」の感染者を除いた「国内」の感染者数から割り出したもの。
 感染者数を小さく見せたい政府が神経質に区分けする「クルーズ船」と「国内」の感染者を合算し、人口1億2600万人で割ると、1万人当たりの感染者数は「0・12人」に倍増。
 確かに、爆発的に感染が広がっているイタリアの3・5人や韓国の1・59人、イランの1・57人よりは少ないが、発生地である中国の0・58人に近い数字だ。
 医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏は言う。
「そもそも、PCR検査の実施にハードルを設け、国内感染の実態はごく一部しかとらえられていません。公的医療保険の適用対象となりましたが、それでも希望者の数%しか検査を受けられていないとも聞く。政府の対応のおかしさは一線を越えた印象です。濃厚接触者を追跡して2週間の行動自粛を求めながら、市中感染の疑いがある市民はほったらかしにしている。
 厚労省は15日、ドライブスルー方式をめぐってツイッターに〈医師の診察を伴わないことが多いため、我が国では、実施しておりません〉と書き込んでいた。受診も制限しているのは他ならない厚労省です。感染の疑いがある市民は片っ端から検査して実態を把握すべきなのに、何もかもデタラメです」
 確認されていない潜在感染者が一体どれほどいるのか。クルーズ船を含む国内の死者は31人だが、これも現実を反映しているのかわからない。毎年10万人が肺炎で死亡していることから、感染が確認されないままこの中に埋もれている疑いもある。


*欧州、アフリカ武漢化ならば未経験の地獄絵
 新型コロナウイルスの感染者は世界で15万人を超え、死者は6000人を上回った。
 WHOのテドロス事務局長が「今やパンデミックの中心地だ」と指摘した欧州では、感染者が4万人を突破。中でも急増しているイタリアで感染者は2万2000人、死者が2000人に迫っている。スペインやドイツ、フランスでも急拡大。メルケル独首相は「ワクチンも治療法もない中、専門家の見立てでは、ドイツの人口の60%から70%が感染する可能性がある」と指摘し、不安が高まっている。
 地中海を挟んで欧州と向かい合うエジプトでも感染者は100人を超え、内陸のコンゴでも感染が判明。医療体制が脆弱なアフリカ大陸の20カ国以上に広がっている。
「イタリアの状況は6万7000人超が感染し、3000人を超える死者を出している発生地の中国・武漢に近づいています。周辺国の感染拡大のスピードから言って、欧州全体に蔓延するのは避けられないでしょう。EU域内で入国制限を設け、ヒトの移動を制限する動きが出ていますが、感染抑止の決め手にはなりません。治療薬がない以上、欧州やアフリカで感染拡大を抑える手だてはない。世界は運命共同体だと現実を受け入れるべきです」(山野美容芸術短大客員教授の中原英臣氏=感染症学)
 WHOと中国政府が調査した報告書によると、新型コロナの致死率は3・8%だという。欧州の人口は7億4000万人、アフリカは12億1600万人。単純計算で約7400万人の死者が出る懸念がある。80歳以上の感染者の致死率は21・9%だというから、後期高齢者が1割を占める欧州はより深刻だ。高齢者だけで1600万人の死を覚悟する必要がある。


*見過ごせない埼玉県一家全員感染の行政責任
 後手に回るコロナ対策の犠牲者だ。埼玉県越谷市在住の家族がそろって感染したことが14日、判明。検査を拡大させたくない行政の怠慢が透けて見える。
 感染が発覚したのは、越谷市内に住む40代夫婦と娘3人の5人家族。娘はいずれも10代で、高校生、中学生、小学生だ。同居する70代の父方の祖母は、5人の感染が判明する2日前の12日に感染が確認されていた。
 問題なのは、この家族のうち父、母、長女の3人が先月25日から相次いで高熱やのどの痛みを訴えていたにもかかわらず、コロナ感染の有無を調べるPCR検査が12日まで実施されていなかったこと。3人のうち母は、27日から今月6日まで38~39度の高熱を発症。医療機関が4日に保健所に相談したものの、肺炎などの症状がなかったため、PCR検査は行われなかったという。結果的に、症状が出始めてから検査を受けるまで約2週間も放置されてしまった。
 政府は6日からPCR検査の保険適用を始めたが、検査拡大につながっていない。
「1日最大6000件が(検査)可能」(加藤厚労相)のはずなのに、14日時点で累積の検査実施人数(1万2919人)は前日比でたったの859人増。韓国を皮切りに欧米で「ドライブスルー方式」のウイルス検査が広がっても、日本政府は相変わらず検査拡大に後ろ向きだ。
「何が何でも感染者数を増やしたくないのでしょう。感染者が急増すれば、後手後手の対応を批判されるのは政府ですからね。検査を拡大しないという医学的な根拠はありません。埼玉の一家全員感染のように、行政の怠慢による感染者が今後も増えていくでしょう」(上昌広氏=前出)
 政府は感染拡大を防止するどころか、ウイルスの蔓延に手を貸している。
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