松尾篤興のブログ「閑話放題」

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法から、日本の政治まで、言いたい放題の無駄話。

宮迫と亮に暗部暴かれ…吉本は“芸人クーデター”で瓦解寸前


 崖っぷちまで追い詰められた芸人が捨て身で臨んだ緊急会見は“笑いの総合商社”の急所をズブリと突き刺した。
 雨上がり決死隊の宮迫博之(49)と、ロンドンブーツ1号2号の田村亮(47)が20日に行った会見で吉本興業の“超ブラック体質”が露呈した。当初、吉本興業のヒアリング調査に対して口裏を合わせて「金銭は受け取っていない」と嘘をついたのは芸人側。しかし、その後、考えをあらためて「謝罪会見をやらせて欲しい」と懇願するふたりに対して「静観する」という方針を打ち出し、ふたりが弁護士を付け交渉を始めると、突如、引退か契約解除かの二択を突きつけた岡本昭彦社長のパワハラ行為は世間の大顰蹙を買っている。
「そもそも社長が人払いをした上で(所属芸人と)じかで非公式な交渉をするなど、企業としての体をなしていません」と言うのは経営学者で現代社会総合研究所所長の松野弘氏だ。今回のやりとりはパワハラの最たるもの。ヤクザが当然のように幅を利かせた昭和の興行の世界から何も変わっていないことの表れだという。
「日産のゴーン氏の事件でも、不祥事に対し社内で委員会を作って対応し、司法の手を借りるという手順を踏んでいます。不当な契約で、極めて立場の弱いタレントが社長と対等であるはずがありません。直接交渉すればパワハラにあたります。そこへ録音はしていないか、全国のテレビ局が株主だからなどと圧力をかけるなどまさに前近代的。口頭の諾成契約だけで雇用契約を結ばず、収入格差が激しく、ギャランティーに対する根拠も不明など“不当な契約”でしかない」
 そうした不当契約で芸人たちは長年、食い物にされてきた。お笑い評論家のラリー遠田氏は吉本芸人のギャラの安さについてこう話す。
「若手芸人たちはよく話のネタにしていますが、事務所との取り分の割合が9・1だと言われています。ライブ1回の出演で数百円しかもらえないこともある。営業に行っても、1日2回公演だとギャラは2回分ではなく1.5回分しかもらえないと話していた芸人もいます。吉本芸人が他の事務所の芸人と同じ仕事をして、密かにギャラを打ち明けあうと、何倍もの差があって驚くこともあるそうです」


*保身と銭ゲバ
 ビートたけしは、20日放送の「新・情報7days ニュースキャスター」(TBS系)で、「それ(闇営業)をやらなきゃ食えないような事務所の契約がダメなんだ。家族がいて食えないようにしたのは誰なんだと。だったら雇うなよ。最低保障くらいしろよ」と吉本を痛烈に批判。芸能文化評論家の肥留間正明氏はこう語る。
「土曜の会見で一夜にして流れが変わりました。吉本興業は宮迫ら以上に“会社の保身”にこだわっていたことが露呈した。十分な調査もせず、いきなり契約解除とは芸人に対する扱いとしては酷すぎる。もっともそれ以前にキチンとした契約さえしてないわけですよ。背景には6000人の芸人を抱え、問題を起こした芸人は即座にクビにして、自分たちは無関係だと言ってきた歴史があるわけです。まさに“トカゲの尻尾切り”。吉本興業を契約解除となることは、現在の状況では、実質的に芸能界永久追放を意味する。2人は決死の覚悟を持って会見に臨んだはずです」
 折しも、ジャニーズ事務所が「元SMAPの3人がテレビに出演できないように圧力をかけた」という理由で公正取引委員会から注意を受けたというタイミング。
「雇用契約などに関しては労働基準局の管轄ですが、元SMAPの3人のように圧力をかけて仕事を干されることもありますから、今後、芸能界全体の“雇用と待遇の問題”は大いに議論されるべきです」(前出の松野弘氏)
 では吉本興業が“トカゲの尻尾切り”をしてまで守りたかったものは何なのか。肥留間氏が続ける。
「吉本興業は、NTTと組んで、教育コンテンツを発信するプラットフォーム設立事業を進めているんです。そこに官民ファンド『クールジャパン機構』から最大100億円の出資が予定されている。原資はもちろん税金です。安倍首相も吉本新喜劇に出演するなど吉本との蜜月ぶりをアピールしており、これに一枚噛んでいる。“闇営業問題”で裏社会との関係が見え隠れする吉本の企業体質に、財務省ではこのプロジェクトをこのまま進めていいのか疑問の声が上がっているそうです。吉本は会見を開くことで、これ以上、表に出したくない内部事情がさらされてプロジェクトが白紙になることを恐れたのです」
 所属芸人は徹底して使い捨てにし、国からはトコトン金を引っ張る“銭ゲバ体質”――。明石家さんま、松本人志を筆頭に、今回の吉本の対応に疑問を持つ所属芸人が一斉に蜂起する可能性は十分にある。
 企業統治においてコンプライアンスが最重要視される令和の時代になっても“昭和”がまるで抜けていない吉本興業。起こるべくして起きた“芸人クーデター”である。
(日刊ゲンダイ)
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