松尾篤興のブログ「閑話放題」

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法から、日本の政治まで、言いたい放題の無駄話。

予算委で露呈 想像を超えるオンポロ内閣、チンピラ答弁

  


 臨時国会が始まり、与党が開催を拒否し続けてきた予算委員会も、半年ぶりにようやく開かれた。9月の内閣改造後、新閣僚にとっては本格デビューとなる初の予算委だが……。10日、11日に衆院で安倍首相と全閣僚が出席する基本的質疑が行われ、たった2日間で新閣僚の怪しい正体がどんどん露呈している。
「2006年はメロン24、カニ38、たらこ・すじこ66」
「安倍晋三先生にはローヤルゼリーを大で、塩崎先生にはローヤルゼリーが小」
 10日発売の「週刊文春」で、選挙区内の有権者に金品や食料品を配っていた疑惑が報じられた菅原経産相。その贈答品リストを入手した野党議員から追及され、シドロモドロになっていた。
 10日にこの週刊誌報道について質問された際は、「そのようなことはない」と強気でしらばっくれ、報道された裏帳簿の存在についても明確に否定していたが、詳細なリストに基づいて聞かれた11日の予算委では、「現在、確認中」と答弁が大きく後退したのだ。
 念願の入閣を果たした途端、秘書給与ピンハネ疑惑、パワハラ疑惑、有権者買収疑惑、政治資金規正法違反疑惑……とまぁ、出るわ出るわ。あっという間に醜聞まみれで、「令和版・疑惑のデパート」として、にわかに注目の人になっている。
「過去には“うちわ”を配って辞任した大臣もいた。選挙区内の有権者にメロンやカニを配っていたら、当然アウトです。関西電力の幹部が福井県高浜町の元助役から巨額の原発マネーを受け取っていた問題について、菅原氏は『事実なら言語道断』などと厳しい姿勢を見せていましたが、正義ヅラする前に、自分はどうなのか。それに、この予算委では、野党の追及によって経産省から高浜町に10年以上にわたって出向者を出していたことも分かった。政府の関与が浮き彫りになったのに、菅原氏は関電が経産省に提出した資料を出そうとしない。逃げの一手だからひどいものです。この政権は原発マネーの問題もまた隠蔽しようとしているのです」(政治評論家・本澤二郎氏)
 野党が求める関電役員の参考人招致も、与党側が拒否して行われない見込みだ。
 一方で、かんぽ生命保険の不正販売を報じたNHKの番組に日本郵政が圧力をかけたとされる問題に関しては、NHKの上田良一会長や日本郵政の鈴木康雄上級副社長らの参考人招致が実現。だが、鈴木氏は「圧力をかけた記憶は毛頭ない」とスットボけ、高市総務相も「個別の番組編集への介入を禁じた放送法に反しない」とかばってみせた。呆れるまでの茶番劇だ。


■問題大臣が多すぎて攻めきれないほど
「安倍政権では、野党議員が何を聞いても『問題ない』『事実ではない』の一言で済ませ、はぐらかし答弁でゴマカす傾向が強まっている。だから議論は一向に深まらず、問題の根本が解決しないまま、疑惑がくすぶり続けるという不毛な状況が続いています。政府側のあまりに不誠実な答弁は、国会と国民をバカにしているとしか思えません。予算委の2日間を見るだけで、この内閣は暴力団とのつながりが報道されたヤクザまがいのチンピラ大臣や、まともに答弁もできないポンコツ大臣だらけだということは明らかで、想像を超えるオンボロ内閣だということが分かる。ただ、問題大臣が多すぎて、野党の矛先があっちこっちに分散するため、どうも攻めきれない印象になっているのではないでしょうか」(本澤二郎氏=前出)
 この改造内閣は01年以降の自民党政権で最多の13人が初入閣。新閣僚の小泉環境相も予算委で答弁に立ったが、案の定、薄っぺらさを露呈しただけだった。
 立憲民主党の辻元前国対委員長から、小泉が入閣前に「平成の政治史に残る大きな事件」と発言していた森友学園問題について、「今もそう思っているか。政治家が誰か責任を取ったか」と聞かれると、小泉は「質問通告を受けていない」「首相や関係大臣が説明しているので、それ以上のコメントは控えたい」「私は環境大臣としてここに立っている」とはぐらかしに終始。「政府の問題をゴマカす清涼剤」と辻元に揶揄されていた。
 就任会見で担当分野について聞かれても答えられなかった北村地方創生相も、官僚が作った原稿を棒読み。「安全運転」と言えば聞こえはいいが、要するに能力的に無理があるのだ。
 萩生田文科相にしても、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」における補助金不交付や、来年度から始まる大学入学共通テストへの英語民間検定試験の導入について質問されても、納得いく説明はまったくなかった。補助金不交付については「会場の安全や事業の円滑な運営にかかる事柄について、事業計画書の中に書けばよかった」と言っていたが、予測不可能な脅迫行為を事前にどう把握して書き込めというのか。英語民間検定試験も「不安を払拭してきた。課題は残っているが、来年はこれで行く」と強調。準備不足を自ら認めたような答弁だ。萩生田の不安は払拭されたかもしれないが、これでは受験生の不安は募る一方だろう。


■支離滅裂でも余裕でニヤニヤの驕り
 そんな中でも支離滅裂な答弁を繰り返したのはやはり安倍で、半年以上も予算委を開かなかったことを責められれば、「グローバル化する中においては、首脳同士が交渉しなければならない」「世界の首脳の中で圧倒的に多く国会に出席している」と、予算委を開かないことを正当化。疑惑解明のために関電幹部を国会に呼ぶよう首相からも指示して欲しいと言われると、「私がせっかく出席しているんですから、私にしか答えられないことを質問されると思ったが」と、上から目線で野党を当てこすって招致を拒否した。
 そうであればこそ、北方領土問題や日米貿易交渉など、首相に直接聞かねばならないという野党の要求には、「日米貿易交渉については外務委員会において外務大臣が政府の立場を説明させていただく」と丸投げだ。「担当大臣から答弁している通り」「それについては担当大臣から」と、逃げる場面も目立った。
 答弁を振られた茂木外相も、日米貿易協定で自動車関税の実態について聞かれると、多くの国民には分かるまいというような尊大な態度で英語の条文を口にし、ケムに巻こうとしたが、国民民主党の玉木代表から「私も英語は分かるのでゴマカされない」とたしなめられていた。
「週末から台風19号への対応、翌週になれば天皇陛下の即位儀式で国会は開店休業状態になる。この予算委さえ乗り切れればいいと、タカをくくっているのでしょう。新閣僚はともかく、茂木外相や麻生財務相など、慣れている大臣は野党を見くびって余裕シャクシャクで、安倍首相も閣僚席でニヤニヤしている緩んだ場面が目立ちました。これだけ問題大臣が多い内閣でも予算委を乗り切れるとなれば、官僚もメディアもますます政権におもねり、忖度が進む。その流れは安倍首相が意欲を燃やす改憲に収斂されていくことになるのでしょう。関電の疑惑や消費税増税の是非など、国民にとって重要な問題は置き去りになってしまいます」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
 野党がダメだというのは簡単だが、そう言う人は一度、テレビ中継される国会予算委を見てみればいい。このオンボロ内閣のグダグダぶりが分かる。それをメディアがきちんと報じれば、支持率下落は必至なのだ。
(日刊ゲンダイ)
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