松尾篤興のブログ「閑話放題」

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法から、日本の政治まで、言いたい放題の無駄話。

ウクライナ機墜落はイラン誤射 危機再燃する「報復の連鎖」


 イランの首都テヘランでウクライナ国際航空の旅客機(ボーイング737型機)が墜落した事故は、イランの誤射によるものだった。ウクライナ機を米軍機と誤認し、地対空ミサイルで撃墜したと11日、イランが認めた。多数のカナダ人が犠牲になったことなどから、欧州勢の態度の硬化は必至。イランを敵視するトランプ米大統領はさらなる軍事力行使を否定し、経済制裁で矛を収めているが、報復の応酬となる危険がある。
 問題のウクライナ機は8日、キエフに向かってテヘランの空港を離陸した直後に墜落。乗員乗客176人全員が死亡し、犠牲者はイラン人82人、カナダ人63人、ウクライナ人11人の順で多かった。
 カナダのトルドー首相は会見で「イランの地対空ミサイルが同機を撃墜したことを示す証拠がある」と明言。米ニューズウィーク誌も、米国防総省当局者や情報当局者らの話として、ロシア製の地対空ミサイルシステムによって撃ち落とされた可能性が高いと報じていた。米CBSテレビによると、米国の衛星が2発の地対空ミサイルが発射されたことを探知。直後にウクライナ機が爆発したという。
 軍事ジャーナリストの世良光弘氏はこう言う。
「1988年に発生したイラン航空655便撃墜事件では、米海軍のミサイル巡洋艦がイランの小型砲艦を追ううちに誤って旅客機を撃墜してしまった。誤射はあり得ます。ウクライナ機が墜落したのは、米軍に革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害されたイランが報復に動いた直後。米軍が駐留するイラク国内の基地に向けてミサイル攻撃をした約5時間後でした。イランの対空防衛システムは米軍の反撃に備えて警戒中で、相当ピリピリしていたはず。極度の緊張状態の下、判断を誤った可能性があります」
 イラン航空当局は「当該機は離陸直後に技術的問題が生じ、墜落前に空港付近に向かい始めた」とする報告書を公表、撃墜を否定したが、墜落現場近くで見つかったとされるロシア製地対空ミサイルの部品の写真がネット上に出回っていた。
「2000年代にイランがロシアから購入した『9K331トールM1』とみられます。イランによる誤射で中東地域の緊張の高まりは避けられなくなった。イラン核合意のメンバーである英独仏は米国によるソレイマニ殺害を非難していましたが、イランがウラン濃縮の制限破りを宣言した上、民間人の犠牲者を出したことで米国になびく口実を与えてしまいました。イランはますます苦境に追い込まれる。最高指導者のハメネイ師が〈この地域は米国の存在を容認することはない〉と米軍撤収を要求していることから、直属の革命防衛隊は今後もさまざまな攻撃を仕掛ける可能性があります。そもそも、彼らは非正規の作戦を担っていますから、親イランの武装組織のテロに見せかけることも考えられる。そうした事態になれば、『強い米国』で再選を狙うトランプ大統領も黙ってはいられないでしょう」(世良光弘氏)
 トランプは在バグダッド米大使館が親イラン派に襲撃される様子をテレビで見てカッとなり、ソレイマニ殺害を指示したという。イランの動向次第で報復の連鎖を招きかねず、情勢は混沌としている。
(日刊ゲンダイ)
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