松尾篤興のブログ「閑話放題」

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法から、日本の政治まで、言いたい放題の無駄話。

2.20が新型肺炎パンデミック節目 最大8200万人感染の恐怖


 肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの猛威に歯止めがかからない。日本国内では数時間おきに新たな感染が判明する状況となり、明らかにフェーズが変わった。海外の専門家は「2秒で感染」「世界の3分の2が感染する恐れ」と警鐘を鳴らしている。パンデミックの分水嶺まで残された日数も、わずかしかない。
 3日から横浜港で停泊中のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の集団感染は、米メディアから「第2の感染中心地」と批判されるひどさで、80歳以上の一部乗客がようやく税務大学校(埼玉県和光市)に移送された。
 それでも政府の対応は相変わらず場当たり的だ。外務省は震源地の武漢を含む湖北省に続き、浙江省温州市について感染症危険情報をレベル3に引き上げ。渡航中止を勧告した。安倍首相はきのう(14日)の新型コロナウイルス感染症対策本部会合で、感染症の専門家会議を対策本部内に設置したと表明。「これまで以上に対策の検討を進めていく」と勇ましかったが、その言葉に説得力はない。
 医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏は言う。
「国内での感染拡大は完全に人災です。感染症対策に力量がない厚労省と官邸のデタラメが重なり、事態を悪化させたのは明らか。クルーズ船の海上検疫・隔離を決定したのは、英医学誌『ランセット』で中国の研究チームが無症状感染者やヒト・ヒト感染の可能性を指摘した後。ウイルス検査の対象を滞在歴などで限定したため、感染者の確認が後手に回ってしまった。神奈川で80代女性が死亡しましたが、すみやかに検査して抗HIV薬を投与していたら、結果は違っていたかもしれません。政府がやるべきは指示ではなく、ロジ。全国各地でウイルス検査ができるような態勢を整備することに尽きる。検査は1万円程度ですから、1万人検査に要する費用は1億円、10万人で10億円に過ぎない。検査件数の増加はエビデンスの積み上げにもつながるのですから、早急に方向転換すべきです」
 ようやく厚労省は滞在歴を問わない検査対象拡大を検討。大学病院や民間の検査会社に協力を仰ぎ、1日の検査実施件数を約300件から約1100件まで増やすという。しかし、その程度で感染スピードに追いつけるのか。


■政府の後手後手対応で事態が悪化
 北京大第一医院感染疾病科の王貴強主任は新華社通信の取材に「ウイルスの感染力は強い。15秒で感染は十分に可能で、何も対処していなければ2秒で感染もあり得る」と指摘。WHO(世界保健機関)の非常勤顧問を務める感染症の権威のアイラ・ロンジーニ氏(米フロリダ大感染病統計研究所所長)の試算では、世界の感染者は数十億人に達する可能性があるという。香港大学のガブリエル・レオン教授(公衆衛生学)も、世界の3分の2近くが感染する恐れがあると警鐘を鳴らしている。この推計を日本に当てはめると、感染者は8200万人に及ぶ。
 一方、中国政府の新型肺炎対策チーム長を務める鐘南山氏は「2月20日が大きな節目」と分析している。武漢閉鎖が1月23日。潜伏期間を14日とすると、2月5日ごろまでは武漢から移動した人が各地でウイルスを拡散させるが、そこで感染網を断ち切れていれば14日を過ぎた20日あたりに一服するというのである。まさにパンデミックの分水嶺まで、あと数日。翻って日本はこの間、政府の後手後手対応で事態が悪化した。初動の遅れは悲劇を量産しかねないのではないか。
(日刊ゲンダイ)
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