松尾篤興のブログ「閑話放題」

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法から、日本の政治まで、言いたい放題の無駄話。

その所業を列挙すれば改めて戦慄 “歴代最長”政権の大罪

     


「体調管理に万全を期して、これからまた仕事に頑張りたい」
 17日に続き、24日も東京・信濃町の慶応大病院で約4時間の診察を受けた安倍首相。同日午後2時前に官邸に入る際、記者団に向かってこう語っていたものの、診察の詳しい理由や結果の中身については「先週の検査結果を伺い、追加的な検査を行った」として言葉を濁した。
「膵臓がんではないか」「持病の潰瘍性大腸炎が悪化したのではないか」――。健康不安説がまことしやかに流れ、現職の総理大臣が2週連続で大学病院の診察を受けるという異例事態に新聞、テレビは大騒ぎだ。
 もっとも、それほど体調が悪いのであれば、潔く総理の職を辞した方が安倍自身にとっても、また国民にとっても有益だと思うが、くしくも、24日は第2次政権発足後の連続在職日数が大叔父の佐藤栄作元首相の2798日を超えて歴代最長になった日でもあり、「もう辞めます」とはいかなかったのだろう。
 だが、あらためて2012年12月に政権復帰した安倍が「この道しかない」と言って舵取りを担ってきた7年8カ月を振り返ると、その悪魔的所業には戦慄を覚えずにはいられない。憲法、暮らし、経済、外交……と、あらゆる分野で暴政の限りを尽くしてきたからだ。


■一丁目一番地のデフレ脱却は今も未達成
 安倍政権は14年7月、歴代政権が憲法上許されないとしてきた「集団的自衛権」の行使容認を閣議決定。そのまま世論の強い反対を押し切って安保関連法案(15年)を通過させたほか、国民の知る権利を侵害する特定秘密保護法(13年)や、内心の自由を侵害する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法(17年)などの違憲立法を相次いで成立させた。
 そして政権発足後から2度にわたって「消費税率」を5%から10%に引き上げるなど、やはり世論の反対を無視して弱者いじめの愚策を強行。この結果、実に13兆円もの負担増が国民の家計と消費に押し付けられる形になったのだ。
 しかも、この消費増税をめぐっては12年の民主(当時)、自民、公明3党による「社会保障と税の一体改革」という合意がほぼ無視され、年金や医療、介護といった社会保障制度に対して消費増税分が充てられるどころか、制度改悪によって7年間で実に計4・3兆円もの給付削減が行われてきたのだ。
 その一方、安倍政権は「アベノミクス」と称するハリボテ経済政策を演出するため、「異次元緩和」をスローガンに掲げた黒田日銀の尻を叩いて市場をカネでジャブジャブにしつつ、国民の老後の蓄えである年金資金を投じさせて株高を下支えしてきた。これによって、400兆円を超える空前の内部留保をため込んだ大企業と中小零細企業との格差を拡大させ、「働き方改革」と称して非正社員の増大を容認。残業代ゼロ法などの雇用破壊で富裕層と貧困層の分断を助長してきたのだ。つまり、歴代最長政権と言っても中身は何もないのだ。
 経済ジャーナリストの荻原博子氏がこう言う。
「第2次安倍政権が発足した際の『一丁目一番地』はデフレ脱却でしたが、いまだに達成されていません。そして、この間、法人税率は3回下がり、消費税率は2回上がった。大企業と富裕層だけがひたすら儲かり、庶民生活は恩恵どころか苦しくなっただけ。それを忘れてはいけません」


■国民は改憲という思い出の犠牲にされた
 14年には内閣人事局を設置して省庁の幹部人事を掌握。官邸に権限が集中し過ぎたため、官邸の顔色をうかがう忖度官僚が続出し、それが森友学園への国有地売却に絡む財務省の決裁文書の改竄や、「行政を歪めている」と指摘された加計学園の獣医学部新設をめぐる問題、イラクや南スーダンに派遣された自衛隊の日報隠蔽や厚労省のデータ偽装の要因になったと指摘された。
 そうして今や、民主主義政治の大前提である「公文書」は改竄、隠蔽、破棄が当たり前となり、歴史を冒涜するような異常事態が日常茶飯事となってしまったのだ。
 内政もむちゃくちゃだが外交も同じ。安倍は「地球儀俯瞰外交」「戦後日本外交の総決算」と声高に叫び、ロシアとの北方領土返還交渉ではプーチン大統領を「ウラジーミル」と親しげに呼ぶ姿が報じられていたが、北方4島は返還交渉が進展するどころか、ロシア側から「支配領土と認めろ」とねじ込まれつつあるから明らかに後退だ。
「政権の最重要課題」と言っていた北朝鮮の拉致問題だって1ミリも進まず、米国や中国、韓国のトップが相次いで北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長と会談する中、安倍だけが一度も会えずに蚊帳の外に置かれている。中国の習近平国家主席の国賓来日は延期され、日中関係正常化の進展も程遠い状況だ。頼みの綱のトランプ米大統領との関係だって、結局は言い値で武器を売りつけられただけ。それが過去最高の5・3兆円に膨らんだ軍事費の理由なのだ。


■提灯報道が戦後最悪の安倍暴政を招いた
 国民がどんなに反対しても耳を傾けず、野党の質問は「意味がない」と突っぱねる。それでいて、自分たちのやりたいことだけは強行突破するのがアベ政治だ。
「女性活躍」「地方創生」「1億総活躍」……と看板を掛け替えては「やっているフリ」をして国民の目をはぐらかし、審議時間もロクに取らずに「閣議決定」という禁じ手を多用して強引に法案を押し通す。
 それが歴代最長となった「アベ政治」の正体であり、議会制民主主義を破壊し尽くしてきた首相の体が今、蝕まれているのだとしたら、それは良心の呵責による業火ではないのか。
 繰り返すが、安倍は内政も外交も経済もすべてに大失敗した。国民は改憲したいという個人的な思い出作りに振り回され、犠牲にされただけだ。そんな悪辣首相の連続在職日数に意味はない。それなのに、NHKなどの大マスコミは<アベノミクスを推進し、日経平均株価は2万円台に回復><8年間で80の国と地域、延べ176の国と地域を訪問><アメリカのトランプ大統領とは、個人的な信頼関係を構築>などと礼賛報道を垂れ流しているからクラクラする。
 こういう大本営発表、提灯報道が戦後最悪の安倍暴政を助長させているということになぜ、気付かないのか。大マスコミの記者は一体誰のため、何のために報道しているのか。
 元NHK政治部記者で評論家の川崎泰資氏がこう言う。
「モリカケ問題や桜疑惑など、安倍首相はこれまで逮捕されていても不思議ではない。そういう恥知らずの首相の在職日数がなぜ、歴代最長となるのかと言えば、メディアが疑惑をきちんと報じてこなかったからです。それなのに今も安倍政権を評価する報道を続けているのはどうかしているでしょう」
 国民を苦しめる安倍の大罪をサポートしてきたメディアも共犯なのだ。
(日刊ゲンダイ)
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