松尾篤興のブログ「閑話放題」

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法から、日本の政治まで、言いたい放題の無駄話。

安倍首相ようやく辞意固める 体調不安での国政停滞にケジメ

     


 安倍首相が辞意を固めたという。NHKが速報し、永田町は騒然となっている。詳しいことは会見で自ら説明するだろうが、持病の潰瘍性大腸炎の悪化が原因と見られている。これ以上、国政を担うことは無理だと判断したようだが、遅きに失した感すらある。日本列島はコロナ第二波に見舞われ、GDPは年率換算で3割も下落していたのに、安倍首相は早々と通常国会を閉じると“雲隠れ”。官邸で会見を開くのは6月18日以来、約2カ月半ぶりで、これが辞任会見なのである。
 安倍の体調不良説は、今月17日と24日に2週連続で慶大病院を訪問し長時間滞在したことなどで一気に広がった。政権幹部が「人間ドックの追加検査で問題ない」「以前と変わりなく元気だ」と打ち消しても、テレビで歩くスピードが遅くなったことまで検証され、自民党内でも「持病の潰瘍性大腸炎が悪化し、何らかの治療を受けた」という見方が大勢になった。「連続在任記録が大叔父の佐藤栄作を抜いて歴代1位になった24日に辞任表明」という退陣説も流れていた。
 しかし、その一方で、「健康状態について黙っていると臆測が広がる一方で政権が弱体化しかねない。自分の言葉で現状を語り、この問題にいったん区切りをつけた方が支持率アップにつながる。総理周辺は新たなコロナ対策を派手にブチ上げて求心力を回復させ、健康不安説も吹っ飛ばすと息巻いていた」(官邸関係者)という。
 側近官僚から「全国民に布マスクを配れば不安はパーッと消えますよ」と耳打ちされて決めたというアベノマスクは大不評で支持率は下落した。今度も総理周辺の見方は甘かった。想像以上に首相の体は限界だったということになる。


■「国民にきちんと説明、謝罪を」
「国民から批判されたストレスが持病の潰瘍性大腸炎を悪化させたといいますが、それは何ひとつ有効なコロナ対策を打てなかった首相の自業自得です。厳しい言い方ですが、それが一国の首相の責任なのであって、リーダーはそれだけタフでなければならない。無策無能と国会も開けない体たらくでは、国民の不安は募る一方。辞任は遅すぎるくらいです。かくなるうえは国民にきちんと説明、謝罪し、ちゃんと働ける後任にバトンタッチする。それも透明性のある形でやってほしいと思います」(政治評論家・本澤二郎氏)


■国王とは違い、激務に耐えられない首相は交代が当然だった
 こんな首相をかばい続けた自民党もどうかしていた。
 野党時代の自民党は、東日本大震災の政府対応を厳しく批判したものだ。当時の民主党政権は2011年の通常国会を70日間延長し、8月31日まで開いたが、「通年国会が当たり前だ」と突き上げる自民党議員も少なくなかった。自身のブログで<災害からの復旧・復興が端緒についたばかりの段階で、国会議員が夏休みを取れるはずがない>と主張したのは、「疲れているから休ませろ」と安倍をかばう麻生財務相その人だ。
 いまは復旧・復興の端緒どころか、コロナ禍の真っただ中である。首相の休養を優先している場合ではなかったのだ。


■同情論すらあるが、当たり前の判断
 通常国会の閉幕以降、安倍は午後出勤が増えて、官邸に入っても2時間程度の打ち合わせしかこなしていない日が多かった。このところ「14日ぶりに午前中から出勤」「訪日要人と半年ぶりに対面」などと、普通に働くことがニュースになる始末だった。28日の会見に先立つ新型コロナ感染症対策本部の会議も、開かれたのは約1カ月ぶり。安倍の体調問題で政治が停滞し、民主主義が破壊されているなら、お引き取りいただくしかない。このタイミングで安倍が辞意を固めたことに同情論すらあるが、そうではない。当たり前の判断というべきだろう。政治ジャーナリストの山田厚俊氏もこう言っていた。
「体調に問題がないのなら、明日にでも臨時国会を開いて新型コロナや経済への対策を議論し、国会議員が対策を練る必要があります。それができないほど体調が悪いのなら、速やかに後任に譲って政治空白を解消して欲しい。単純な話で、国民は政府に危機対応をしっかりしてもらいたいだけなのです。誰も病気を責める気はないし、首相なら血ヘドを吐いてでも寝ずに働けなんて言う人はいません。首相の激務に耐えられないのなら、退陣してゆっくり休めばいいじゃないですか。首相に休養が必要だと言う与党議員はそう勧めたらどうですか。ポスト安倍の政局なんて脇に置いて、臨時代理でも何でもいいから、どうすれば国会を早く開いて国民生活を守ることができるかを考えて欲しい。いつまで首相の体調に振り回されて、国民生活が犠牲にされなければならないのでしょうか」
 病気に罪はないが、それで政治空白を招いていることは罪深い。国民はたまったもんじゃない。そういうことだ。
 (日刊ゲンダイ)
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