松尾篤興のブログ「閑話放題」

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法から、日本の政治まで、言いたい放題の無駄話。

悪法を次々…安倍は国会もない選挙もない国に変えたいの?


 三菱重工がトルコへの原発輸出断念に追い込まれた。日立製作所による英国への原発輸出も、安倍政権が政府保証をつけても中ぶらりん状態だ。米ゼネコン大手のべクテルが撤退し、プロジェクトは事実上頓挫した。にもかかわらず、日立の原発輸出を決定したのは中西宏明会長。安倍首相と食事を共にするアベ友のひとりで経団連会長である。いまプロジェクトを畳めば、損失は最大2700億円に上る見通しで、中西会長の責任問題に発展する。それで、やめるにやめられないのだ。


 結局、安倍政権の成長戦略の柱である原発輸出は壊滅状態だ。成長戦略もダメ、デフレ脱却もダメ、財政再建もダメ。出口のないネズミ講のように異次元緩和を続けているだけなのだ。


 前回書いたように、世界経済は2019年に向けてリスクがたまってきているのに、安倍政権はなす術がない。一方で、ロクな国会審議もせずに悪法を次々と成立させている。00~15年に世界37カ国の235水道事業が再公営化されているのに、今になって改正水道法で水道事業を民営化する。漁業への企業参入を促す水産改革関連法は、乱獲で漁業を破壊しかねない。改正入管法は人権侵害への改善策がなされないまま、低賃金の移民労働者の受け入れを拡大する。


 しかも、これらの新法は中身は役所丸投げだ。水道民営化では、海外で料金高騰や水質悪化が大問題になったのに、裁量労働制のデータ捏造に走った厚労省が事前審査するお笑い。水産改革関連法では漁獲量配分は役所任せ。漁業者が水産庁に報告するだけで、違反チェックの仕組みはない。改正入管法に至っては、新たな在留資格「特定技能1号」「特定技能2号」の詳細は国会審議不要の省令で定めるという。


 ロクな審議なしで法律を作り、改ざん上手のダメ官庁とペテン政治家がグルになり、お手盛りで何でもかんでも決めてしまう。これでは国会はいらない。


 辺野古新基地建設を巡っては、2度の沖縄県知事選が示した民意を無視し、来年2月末の県民投票前に土砂投入を強行しようとしている。地方選や県民投票を完全無視だ。安倍サン、ひょっとして国会もない、選挙もない国につくり変えたいのですか。


金子勝慶応義塾大学経済学部教授
1952年6月、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業。東京大学大学院 博士課程単位取得修了。 法政大学経済学部教授を経て。2000年10月より現職。TBS「サンデーモーニング」、文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」などにレギュラー出演中。『資本主義の克服 「共有論」で社会を変える』集英社新書(2015年3月)など著書多数。新聞、雑誌にも多数寄稿している。
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