松尾篤興のブログ「閑話放題」

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法から、日本の政治まで、言いたい放題の無駄話。

老後2000万円問題 “モリカケ”のような逃げ切りはできない


 金融庁の報告書に端を発した「老後資金2000万円不足問題」を巡り、与野党対立が激化している。しかし、安倍政権はモリカケ問題と同じように、論理をすり替え、逃げ切りを図ろうとしている。
 麻生財務相が渦中の報告書の受け取りを拒否したことで、報告書はないことになり、ないものだから政府は質問に答えないと閣議決定した。これでは「風が吹けば桶屋が儲かる」と同じ「論法」で、論理も何もない。菅官房長官に至っては、厚労省が金融庁に言ったのは「高齢世帯の収支差額が月5・5万円のマイナス」で、「老後30年間で約2000万円が不足する」というのは金融庁独自の試算でリンクしないと強調する。したがって、政府の公式見解ではないから、受け取り拒否は問題ないという。「5.5万円×12カ月×30年」で単純計算すれば、およそ2000万円なのは小学生でもわかる。どこまで国民をバカにするつもりなのか。
 先週行われた党首討論も安倍政権のアリバイ作りであることはミエミエだ。野党4党が質問に立ったが、全体でたった45分間。これでは、データや資料に分け入った本質的な問題には踏み込めない。国民にとって、年金不足は重大な関心事なのに、安倍政権は衆院予算委員会を3カ月以上開かない。渦中の報告書が公表されたのが3日。すでに3週間が経過している。その間に予算委を開いていれば、1日3時間審議で計45時間、5時間で計75時間を充てられただろう。安倍政権はこのまま逃げ切って参院選は乗り切れると、またも国民をバカにする。
 2000万円どころか、無年金者や国民年金だけを受給する少額年金者など、いわゆる「下流老人」と呼ばれる高齢者の生活最低保障はできるのか。年金財政検証の公表が参院選後まで延ばされるが、年金制度は本当に持つのか。安倍政権は何一つ答えようとしない。
 だが、今回の年金問題はモリカケとは決定的に違う。アベ周辺の取り巻きが甘い汁を吸っていたモリカケは不愉快ではあるが、他人事でもあった。しかし、年金はわが身に降りかかる問題だ。そう簡単に収まりがつくわけがなく、モリカケのように逃げ切るのは無理だろう。
(日刊ゲンダイ・金子勝)
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