松尾篤興のブログ「閑話放題」

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法から、日本の政治まで、言いたい放題の無駄話。

黄昏迎えた安倍首相 いよいよ名誉ある引退を考える時がきた

       


 参議院選挙が終わった。各紙の報道は次の2点につきる。「自公勝利改選過半数」「改憲勢力3分の2は届かず」である。
 今回の選挙をめぐり、メディアは事前に開票結果の予測をしていた。「自公3分の2をうかがう」というのがおおかたの選挙予想であった。
 ただ、今となって振り返ってみると、見事に選挙予想をしていた新聞がある。産経新聞だ。7月8日付の産経ニュースは「1人区では岩手と秋田、新潟、長野、愛媛、沖縄の6選挙区で野党統一候補に先行され、山形、宮城、滋賀、大分の4選挙区でもややリード」と報じた。見事な予測である。
 おそらく大手各メディアも同様の情報を持っていたのではないか。それにもかかわらず「自公 3分の2をうかがう」と適当にお茶を濁す報道をしていたのではないか。仮にそうであれば、日本のメディアの堕落を示すかのようだ。
 選挙後、「自公勝利 改選過半数」という報道があったが、これも正確ではない。
 本来は、政権党である自民党の動向に最大の関心が払われるべきである。ふつうに考えれば、見出しは「自民党の敗北。9議席減らし57議席」となるだろう。
 私はこの選挙で「改憲勢力」が3分の2を握ることを危惧していた。
 トランプ政権になって、米国はイランとの核合意から離脱し、緊張が高まる中、米国主導で有志連合をつくり、イラン攻撃の態勢をつくりつつある。憲法を改正すれば、日本は軍事攻撃に引きずり込まれる。「対米追随」を最優先する安倍首相は依然として憲法改正に前向きで、国民民主党につけ入る隙があるとみている。
 だが、「一本釣り」は容易でない。さらに国民民主党支持者の74%が安倍政権での改憲に反対している。もし玉木代表が改憲支持に踏み込めば、それは支持者への裏切りだ。これに加え、公明党は改憲に慎重な姿勢を強めている。来年の通常国会での改憲はほぼ幻となった。
 もはや安倍首相に国民に対して改憲支持を高める政策は存在しない。これから米国は農産品の関税引き下げを迫ってくる。米中貿易戦争のあおりで輸出は減少する。その上、消費税を10%に引き上げである。
 当然、日本経済は冷え込む。頼みの北方領土問題の進展もない。拉致問題で北朝鮮が好意的姿勢に転じる可能性も低い。八方塞がりだ。もう種は尽きた。いよいよ名誉ある引退を考える時がきた。
(日刊ゲンダイ・孫崎享)
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