松尾篤興のブログ「閑話放題」

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法から、日本の政治まで、言いたい放題の無駄話。

シラケ参院選の責任は史上最弱の非力バラバラな野党にある

  


 参議院選挙が終わった。50%を切る低投票率が物語るように、有権者の関心は低く、話題性からいえば、「吉本興業騒動」に完敗だ。なぜ、これほどつまらない選挙になったのか、その責任の多くは野党側にある。
 長く政界を見てきたが、今ほど野党が非力でバラバラな時代は、およそ記憶にない。主な野党陣営を俯瞰してみると、共産党は一定の堅い支持を持っているが、「ノビシロ」はない。社民党は消滅寸前、日本維新の会に至っては、内閣不信任決議案が出るたびに反対票を投ずることから見ても、政権与党の補完勢力で、「野党」と呼ぶのは無理がある。となると、残るは国民民主党と立憲民主党しかないわけだ。
 確かに立憲民主は議席を伸ばしたが、自民党に警戒心を抱かせるほどの存在というには、ほど遠い。国民民主に至っては、今後の分裂、解党の可能性まで囁かれている。そもそもこの両党、有権者からすれば、「あの民主党政権の残党」としか見えていないのでは? 安倍総理が口汚く「あの悪夢のような民主党政権」と罵るのも、それがわかっているからだ。
 なぜ、野党がここまで非力、劣化してしまったのか。有権者から見て、期待感の受け皿にまったくなっていない理由がどこにあるのか。やはり、それは民主党政権の失敗、それに対する有権者の「トラウマ」に起因すると考えるしかない。民主党政権だって悪いことばかりしたわけじゃない。景気・経済の低迷はリーマン・ショックが背景にあったことも事実。だが、多くの有権者が「冒険してみたけど、あの政権交代は大失敗だった」と思っていることは間違いない。問題は民主党政権の残党たちが、それを真正面から受け止め、問題点をきちんと整理、総括し、反省と学習をした上で、外から見ても「出直したな」と思えるような体制を整えることではなかったか。
 ところが、形勢不利となったらさっさと逃げ出すやつが続出するわ、揚げ句の果てに小池百合子の口車に乗って民進党を解党した結果、今やそこから生まれた国民民主と立憲民主は「近親憎悪」状態。今回の参院選も、見方を変えれば、本来の「敵」である自公連立政権との闘い、というより身内同士の潰し合いだったといってもいい。結果、国民民主内には、維新との連携や連立入りを模索する動きすら出始めているという。
「安倍1強」はこれで、ますます「ゆるみ、たるみ、おごり」を増し、政治から緊張感がどんどん失われていく可能性が高い。緊張感を持った政治を行わせるためには、政権与党が「警戒心」を抱くくらいの野党が不可欠だ。野党の劣化は政治全体の劣化につながる。野党には、果たしてその自覚があるのだろうか。
(日刊ゲンダイ・伊藤惇夫)
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