松尾篤興のブログ「閑話放題」

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法から、日本の政治まで、言いたい放題の無駄話。

初海外&初メジャーでVの快挙 渋野日向子“スイングの秘密”

    


【全英女子オープン】最終日
 7メートルのスライスライン。強めにヒットしたボールがカップに吸い込まれた瞬間、歴史が変わった。
 渋野日向子(20)が、海外試合初参戦のメジャー大会で初優勝(賞金67万5000ドル=約7400万円)を遂げた。日本人選手のメジャー優勝は1977年「全米女子プロ選手権」の樋口久子以来となる42年ぶり2人目の快挙。最終18番パー4はドライバーでフェアウエーセンターに運び、第2打はピンまで残り163ヤード。カップが切られた2段グリーンの上までボールを運び、7メートルのバーディーパットを沈めると、パターを持つ左手を高々と挙げて満面の笑みを見せた。
 前半はトレードマークの笑顔がほとんど見られなかった。3番パー4は12メートルから4パットのダブルボギー先行。2組前でプレーするL・サラス(米国・30)が32、コ・ジンヨン(韓国・24)が33と、猛烈な追い上げを見せ、トップグループを形成。渋野は首位サラスに2打差の3位で折り返した。
 すると、初日30、2日目35、3日目30をマークした得意のインでスイッチが入った。10番パー4はカラーから6メートルをねじ込み、12番パー4はドライバーで1オンに成功し2パットバーディー。15番パー5は3メートルを沈めて17アンダーとバーディーを量産して、ついに首位のサラスに並ぶ。そのサラスは18番パー4で1.5メートルのバーディーパットがカップに蹴られ、先に17アンダーでホールアウト。渋野が18番でウイニングパットを決めた。
 渋野は昨年プロテストに合格し、今季が事実上のルーキーイヤー。5月のワールドレディスでツアー初優勝、7月の資生堂女子で2勝目を挙げ、3勝目はまさかのメジャータイトルとなった。


■身体的特徴を生かした独特のスタイル
 165センチ、62キロの渋野はフラットに構えるスイングに特徴がある。ミドルアイアンになると手の位置がひざのすぐ上に来るくらい低く構えて、前傾姿勢も深い。
 渋野の両腕は欧米人のように長く、すごいハンドダウンに構えている。
「他の日本人とは違う、渋野にしかできないプレースタイルを貫いたのがメジャー制覇につながったともいえる」と田原紘プロがこう続ける。
「アドレスは腕が外側に反っている。普通なら直されるのですが、渋野はその長い腕を生かしてヘッドを飛球線後方に上げて、下ろすだけ。腕の振りがよくなり、余分な動きが一切見られなかった。右ひざの上で体が回転して、体重がインパクト前に左に移っていない点もいい。ヘッドの動きにつられて体重移動しているだけで、全てにおいてシンプル。だから緊張する場面でもスイングが乱れることなく、飛んで方向性も安定していた。パターも手先ではなく体全体でストロークして、軸足に体重が残ってボールを打ち出しており終始転がりがよかった」
 今大会はバーディー合戦の様相になり、渋野は25バーディー(5ボギー、1ダブルボギー)を奪い、最後まで勢いが衰えなかった。


■ギャラリーを味方につけたスマイルシンデレラ
 初のメジャー、初の海外試合にもかかわらず渋野はラウンド中に笑顔を絶やさず、地元メディアに「スマイルシンデレラ」と呼ばれた。
 メジャー大会はタイトルの重みからプレッシャーがかかり、普段通りにプレーできない選手が多い。優勝がかかるパットでは手がスムーズに動かなくなることもある。
 ましてや日本人選手にとって42年ぶりのメジャー優勝の期待がかかり、単独首位発進ならなおさらだ。
 これまで岡本綾子、福嶋晃子、宮里藍、宮里美香、畑岡奈紗ら多くの日本人選手がメジャータイトルに近づいたが、手が届かなかった。
 ところが渋野は過去の日本人選手とは違った。
「最後までしっかり攻めていきたい。攻めていかないと優勝はない」という覚悟で臨んだ最終日も、笑顔を見せながら、ホール間のインターバルではギャラリーとのハイタッチもあった。
 ラウンド中はおにぎりや酒のつまみを口にしながら、キャディーバッグを担いだ青木コーチとの会話を楽しむようにリラックスした。
 笑顔がゴルフに好影響を及ぼすことはすでに科学的にも証明されている。
 だが、一歩間違えば緊張の糸が途切れて集中力を失うことにもなりかねない。
 その点、渋野はギャラリーを味方につける魅力があり、メジャーでも国内大会のように心底楽しんでいるようだった。
 試合中は小さい子供に手袋をプレゼントしたり、積極的に声をかけた。
「後半は緊張もなくて、日本で試合をやっているのかなと、思いながらプレーした」(渋野)
 メジャーに出場すると、世界のトッププロのすごさを目の当たりにして、よそ行きのプレーになって実力を発揮できないままで終わってしまう日本人プロは男女問わず多い。しかし、渋野はそんな日本人プロの殻を突き破ったといえる。


▼渋野のコメント
「鳥肌が立ちすぎ。今は緊張して言葉が出ない。吐きそうです。前半は緊張した。最後のパットはあまり緊張していなかった。ここで決めるか、3パットかと思って強めに打った。3番のダブルボギーは怒るというより、笑っちゃって、だんだん悲しくなった。10番は切り替えるためにも、ここでバーディーを取らなければと思った。12番の1オンは、ここで狙わないと悔いが残ると思い、メチャ振った。キャディーがコーチだったのでリラックスしてできた。クラブ選択やスイングの話もできて心強かった。日本語の応援も聞こえたし、日本でやってるのかなという感じでした」
(日刊ゲンダイ)
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