松尾篤興のブログ「閑話放題」

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法から、日本の政治まで、言いたい放題の無駄話。

国が崩壊に向かう時、そこには必ず愚かな指導者がいる


 日本経済が揺らぎ始めた現象が次々に起きている。「セブン&アイ・ホールディングス」は不採算店の閉鎖や移転を決め、「イトーヨーカ堂」や「そごう・西武」は約3000人の削減に乗り出す。「高島屋」も横浜市の港南台店を来年8月に閉めると発表したほか、米子市の米子店は来年3月に地元企業へ譲渡する。高島屋の村田善郎社長は会見で、ほかの地方店の撤退や縮小にも言及し、岐阜市の岐阜店や岡山市の岡山店、堺市の堺店、泉北店の4店舗を挙げた。
 国民の消費に関係する企業不振が顕著なのは、経営手腕がおかしいからではない。日本全体の消費が冷え込んでいるからだ。
 日本では、65歳以上の高齢者人口は3575万2000人で、総人口の約28%にあたるが、彼らの老後は決して明るいとは言えない。
 安定的な老後生活を送るためには年金のほかに約2000万円の貯蓄が必要と言われているが、そんな余裕はない。いかに消費を抑えて生きていくかに頭を悩ませている。
 さらに労働者にも暗いニュースが流れている。
 8月の労働者1人当たりの平均賃金を示す現金給与総額は前年同月比0・2%減の27万6296円で、2カ月連続でマイナスとなった。
 こういう時こそ、政府は消費を増やすための政策を考える必要があるが、今の政権が進めている政策は真逆である。消費が冷え込む中で、消費税率を引き上げたのである。もはや政府は国全体を考える機能を失ったと言っていい。
 週刊朝日(10月4日号)は〈企業は天国、庶民は地獄、税金逃れ大国ニッポン〉という特集記事を掲載。日本企業の“税金逃れ”を問題視している。
 それによると、企業別の税負担率は次の通りだ。
 ソフトバンクG=マイナス30%、本田技研=20%、住友商事=17%、東京電力=8%、アステラス製薬=19%、丸紅=18%、日本製鉄=16%、日本航空=17%、武田薬品=10%、関西電力=12%。そして今や、大企業の内部留保は463兆円にものぼる。
 グローバリズムが進む中、世界の工場は、米国から日本、西欧先進国から韓国、台湾から中国、ベトナム、インドネシアなどに移行した。経済運営には、かつてない英知が必要となる。しかし、今の政府が行っているのは、労働者の賃金を下げ、消費税率を引き上げ、消費を減らしている。そして教育費の比率も下げた結果、GDPに占める公的な教育支出の割合はOECD加盟34カ国中で日本は最下位である。国が崩壊に向かう時、そこには愚かな指導者が必ずいる。それが今の日本の姿である。
(日刊ゲンダイ)
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