松尾篤興のブログ「閑話放題」

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法から、日本の政治まで、言いたい放題の無駄話。

米兵3000人手配 米軍の対イラン戦準備は着々と進んでいる

     


 安倍首相も河野防衛大臣も「イランをめぐる中東情勢は危機的状況を脱し、安定化している。自衛隊も安全な状況で情報収集に当たれる」と能天気な発言を繰り返している。トランプ大統領の立場も、イランの怒りも分かっていないようだ。
 まずはアメリカの内情だ。イランのソレイマニ司令官を殺害したのは計画通りであったが、その報復としてイランが米軍基地に撃ち込んだミサイルを迎撃できなかったことに衝撃が走っている。確かに米軍に死者は出なかったが、11人が脳振とうを起こして治療を受けているという。高額のアメリカ製迎撃システムがまったく機能しないことが判明し、米国の信用は丸つぶれ。周辺国からはイラン製のミサイルを導入する動きも出始めている。
 そのため危機感を強めた米軍は、新たにサウジアラビアにF15―E飛行中隊を送り込んだ。ここからイラン攻撃をスムーズに展開しようとの考えで、昨年末のアラブ首長国連邦(UAE)への戦闘機配備に次ぐ危機対応だ。米陸軍のマッカーシー長官は「イランとの戦争に備え、新たにミサイル防衛を強化する」と宣言した。
 最も注目すべきは、米軍が今年3月上旬に予定していたヨーロッパ諸国と合同で対ロシア戦に備える演習「コールド・レスポンス」を中止し、参加予定の米兵3000人を「イランとの戦闘に振り向けるもようだ」とノルウェー政府が明らかにしたことである。しかもトランプ大統領はNATO軍に「イラン封じ込めにもっと積極的に協力せよ」と圧力を強めている。


■イランは先月、中国と軍事演習
 実はこれ以外にも、対イラン戦の準備は急ピッチで進められている。第82空挺団4000人、海兵隊2000人も現地に派遣された。インド洋のディエゴ・ガルシアにある米軍基地にはB―52重爆撃機編隊が緊急配備。ここはイランの長距離ミサイルが届かないという。米軍のイラン攻撃は秒読み段階といっても過言ではない。
 こうした動きを予期したように昨年12月、イランは中国、ロシアと初の合同軍事演習を実施した。演習の舞台は日本の海上自衛隊が活動を行うオマーン湾だった。果たして日本政府はアメリカから対イラン戦争の準備に関する情報を知らされているのだろうか。安倍首相は「アメリカは最大の同盟国」と胸を張るが、イラン攻撃用に新たに配備された潜水艦発射の小型核ミサイルW76―2についても何も知らされていないのではないか。
「中東の石油はもういらない」と公言するトランプ大統領の下で、新たな核戦争の危機が迫っている。(おわり)
(日刊ゲンダイ・国際政治経済学者・浜田和幸)
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