松尾篤興のブログ「閑話放題」

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法から、日本の政治まで、言いたい放題の無駄話。

手のひら返し安倍首相 “官邸の守護神”黒川弘務氏切り捨て

 


 逃げ込んだ先は“応援団”のもとだった。検察庁法改正案で猛批判を浴びている安倍首相。弁解の機会を与えられると、“官邸の守護神”を厚遇した全責任を法務省になすりつけた。この手に平返しは“あの人”を切り捨てた時と同じだ。
 人は「無視、称賛、非難」の3段階で試される――。2月に亡くなった名将・野村克也氏の教えだが、安倍首相はいつも褒めてもらいたいらしい。「憲政史上最長の総理」なら、それなりの器があってしかるべきだが、追いつめられると、いつも“お仲間”の称賛を欲しがる。
 15日には「密」な関係のジャーナリスト・桜井よしこ氏主宰のネット番組「言論テレビ」に出演。改正法案の弁解の機会を与えられると、自分勝手な講釈をたれ、桜井氏もひたすら助け舟を出し、都合のいい釈明を語らせる茶番のようなやりとりを繰り返した。
 例えば黒川弘務東京高検検事長について。桜井氏に「政権に近いというメディアの表現は、正しいと思いますか」と聞かれ、安倍首相は「イメージをつくり上げているんだろうと思います」と前置きし、こう断言した。
「この黒川さんと2人でお目にかかったことはありません」
 この抗弁にネットはすぐ反応。
 2018年12月11日の首相動静に16時25分から9分間、当時は法務事務次官だった黒川氏と官邸で2人きりで会った記録が残っており、あっさり「嘘八百」だと見抜かれてしまった。
 差しで何を話し合ったかは定かではない。ただ、同年5月末に財務省の森友文書改ざん事件で佐川宣寿元国税庁長官以下、財務省幹部ら38人が不起訴に。同年6月、処分への不服申し立てにより、大阪地裁第1検察審査会が審査を開始。そのさなかに、2人は会っていた。
 翌年3月末に検察審は「不起訴不当」と議決。大阪地検は同年8月に再捜査の結果、再び不起訴処分とし、佐川氏らは“無罪放免”となった。


■森友問題での“籠池切り”を想起させる顔つき
 さらに安倍首相は黒川氏の定年延長や検察庁法改正案に関し、全責任を法務省に押しつけた。桜井氏が「政府高官に取材して聞いた」とし、「全部これは法務省が持ってきた」との問いかけに、示し合わせたように肯定する形を取ってである。
 しかし定年延長の閣議決定後、今年2月21日付の読売新聞はハッキリとこう書いていた。
〈政府関係者によると、次期検事総長の人選は、昨年末から官邸と法務省の間で水面下で進められた。同省から複数の候補者が提案されたが、安倍首相と菅官房長官は黒川氏が望ましいとの意向を示したという〉〈政府の措置で黒川氏は検事総長への道が開けた〉
 安倍首相はかつて「熟読」を勧めた読売の誤報だというのか。その後も桜井氏に「官邸が介入して(検察人事を)変えるといったことは?」と畳みかけられると、「それはあり得ない」と迷惑そうな表情を浮かべた。黒川氏を引き上げることなど「自分がやるわけがない」とでも言いたげだったが、その顔は森友学園の籠池理事長(当時)を切り捨てた時とだぶってくる。当初は国会で「立派な教育者」と持ち上げながら、不都合な存在となると、手のひら返しで「非常にしつこい」「教育者の姿勢としていかがなものか」と人格攻撃を開始した。黒川氏も同じ。「会ったこともない」と切り捨てたのである。
「安倍首相は政権延命のためなら、何でもする。今までも道義も情もなく、都合の悪い人物を平然と切り捨てることが、政権維持の秘訣でした。想像を絶する批判を受けて、黒川氏に対してももそうしたのでしょう。折しも元特捜検事の堀田力弁護士らに『辞任勧告』を受け、黒川氏が自発的に辞めることを期待しているのではないでしょうか」(政治評論家・本澤二郎氏)
 わが身大事の冷酷首相なら、やりかねない。
(日刊ゲンダイ)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◉Mazzuola Editore ダイレクトセール・松尾出版直販(送料無料)

http://mazzola-editore.easy-myshop.jp

◉Amazon
https://www.amazon.co.jp/美声を科学する-松尾篤興/dp/4990812808/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1521368401&sr=8-1&keywords=美声を科学する