松尾篤興のブログ「閑話放題」

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法から、日本の政治まで、言いたい放題の無駄話。

加計理事長が突然の会見 W杯と地震に合わせ“逃げ切り作戦”

 


 あまりにも姑息なタイミングだ―――。19日、岡山市内で緊急会見を開いた加計学園の加計孝太郎理事長。加計問題が発覚して以降、理事長が会見したのは初めてのことだ。このタイミングなら、大きなニュースにならないという計算がミエミエである。


■地元・岡山で加盟社以外の記者の取材を拒否


 初の会見に至ったキッカケは、愛媛文書に記載された2015年2月25日の安倍首相と理事長の面会だ。先月31日、加計学園の事務局長が「実際にはなかった総理と理事長の面会を引き合いに出して(愛媛県に)伝えてしまった」と謝罪会見を開いたばかりである。


 19日の会見は、行政に“ウソ”をついた責任を取る形で、理事長と事務局長の処分が決定し、急きょ開かれることになった。


 ところが、会見が行われたタイミングについて「なぜ今なのか」と疑問の声が上がっている。


 会見を開くことも直前に伝えられた。会見開始2時間前の午前9時すぎ、地元の記者クラブに通達したが、なぜか加盟社以外の記者の取材を拒否。学園の報道担当者は「(フリーにした場合)どれだけの記者が来るかわからない」として、取材を制限したという。なるべく小さなニュースにしようという学園の意図は明らかだ。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏がこう言う。


「午前11時は、生放送しているテレビ番組が限られています。世間の注目を浴びたくない学園側からすれば、この時間帯の会見は大きなメリットがある。加えて、加計問題を追及している在京記者は2時間で岡山に行くことができません。多くの記者にズバズバ質問されることを恐れたのでしょう」


 実際、地元・岡山の記者しか出席しなかったために厳しい質問もなく、会見は30分足らずであっさり終わっている。もし、週刊誌の記者も加わっていたら、会見は大荒れになり、理事長は右往左往したに違いない。


■W杯と地震の話題一色の姑息なタイミング


 会見の開始時間だけではなく、日にち設定もフザケている。


「今、テレビやラジオ、新聞は、『ワールドカップ』と『地震』の話題一色です。とりわけテレビは、予定が決まっているワールドカップなどのイベントの番組を突然変更できないという事情がある。ワールドカップや地震といった大きなニュースに比べれば、理事長の会見は、相対的に扱いが小さくならざるを得ません。この点を踏まえると、学園のマスコミ戦略はある意味で『成功した』と言えます。ただ、マスコミが触れなくても、国会で再燃するのは必至です」(鈴木哲夫氏)


 実際、野党側からは、地震直後やワールドカップを見計らった会見に、「今ごろ何なのか。遅すぎる」「非常に姑息」などの批判が殺到した。理事長の証人喚問を求める声はやむどころか、逆に強まっている。


 理事長の“処分”についても批判が噴出している。


 当の理事長は、県に「多大な迷惑をかけた」監督責任をとって、12カ月間、報酬月額の10%を自主返納するという。しかし、行政にウソをついたことを「重大なコンプライアンス違反」と語っておきながら、その「おわび」にしては軽すぎだろう。民間企業なら、社長や役員のクビが飛んでも不思議じゃない。学園に減給の金額や処分の妥当性などについて質問したが、期日までに回答はなかった。


 給料を自分が理事長を務める法人に返納する――。こんな大甘処分で幕引きを図ろうなんて、国民をナメている。
(日刊ゲンダイ)
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