松尾篤興のブログ「閑話放題」

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法から、日本の政治まで、言いたい放題の無駄話。

河井夫妻の立件の仕方に疑問…検察はヤル気を失っている?

  


 河井克行・案里夫妻を公職選挙法の買収罪に問う裁判が始まった。
 多くの解説が、夫妻の派手な現金バラまき行為が厳しく罰せられるのは当然として、その金を受け取った側の地元首長や議員ら100人が、いまだに処分を受けていないのは「異例のこと」だと指摘しているが、これは少しツボが外れている。本当に「異例」なのは、現金バラまきが案里選挙の数カ月前から始まっていたにもかかわらず、これをひとくくりに公選法の買収に当たるとした立件の仕方なのである。
 選挙違反問題に詳しい弁護士によると、「選挙期間中はもちろん、その直近の事前活動で現金などを渡して投票や票のとりまとめを依頼すれば買収だが、その数カ月前ということになると、一般的な政治活動、あるいは地盤涵養行為であって、選挙のための買収ではないと言い抜けられる可能性がある。そこで、事前活動の幅を無理にでも広くとって、あくまでも買収罪で裁くのだという強い姿勢を安倍政権に対して見せつけようとしたのではないか」という。
 広島地検や大阪地検がこの一件を捜査していた当時、現場の検察官の間で安倍政権のあまりに露骨な検察人事介入に対して怒りの感情が広がっていたことが、その背景にあったと考えられる。
 ところが、この立証はなかなか難しく、現金を受け取った側の何人かから「案里への投票もしくは票のとりまとめを頼まれた」という証言を引き出して、公判でもそれを言わせ、夫妻側の全面否認をひっくり返さなくてはならない。
「そのため、取り調べの中で『そう言われたように記憶する』などと漏らした者に対して、『それをはっきりと証言するなら君を立件することはしない』と、一種の司法取引を持ちかけたのではないか」と前出の弁護士は推測する。
 立件の仕方の異例が、被買収側100人の処分見合わせというもうひとつの異例につながったということである。それでも検察側は、何としても河井夫妻を追い込もうと張り切っているのだろうか。「いや」と、その弁護士は悲観論を述べた。
「安倍がどうしても検事総長にしたかった黒川弘務・元東京高検検事長が賭けマージャン問題で自爆し、その爆風で検察庁法改定も吹き飛んでしまったので、検察としては安倍と戦う理由が消滅した。だから、もともといささか無理があったこの裁判についても、すでにヤル気を失っているんじゃないかと心配です」と。
(日刊ゲンダイ・高野孟)
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限界は歴然 それでも“辞めない”“辞めさせない”摩訶不思議

     


「体力の限界……」
 万感の思いが突き上げてきたのだろう。白いハンカチで鼻を押さえ、次の言葉まで数秒。「気力もなくなり引退することになりました」と喉の奥から絞り出すように語った。
 1991年5月、小さな大横綱・千代の富士の引退会見。夏場所初日、後に横綱・貴乃花となる貴花田との初対戦で敗れると、世代交代を悟り、潔く21年に及ぶ土俵生活に別れを告げた。
 あれから、はや30年近く。男泣きの“ウルフ”と真逆の姿をさらけ出しているのが、連続在職日数歴代1位の安倍首相だ。
 もはや「体力の限界」は世間にとうに知れ渡り、コロナ禍に苦しむ国民を不安がらせている。
 現職の総理大臣が2週連続で大学病院の診察を受ける異例の事態。それでも安倍自身は診察の詳しい理由や結果の中身については言葉を濁すため、健康不安説はエスカレートの一途だ。
「膵臓がん、あるいは大腸がんが見つかったのでは」「持病の潰瘍性大腸炎が悪化し、体力が消耗する顆粒球吸着除去療法(GCAP)という治療を週1回受けているらしい」とまことしやかに重病説も流れ、「臨時代理を置く」との話が大新聞・テレビで公然と語られている。
 19日の公務復帰後、先週は午前中を私邸で過ごす「半休」を続け、午後に官邸に入っても、執務の実働時間は最長約140分。慶応大病院に再訪した24日は午後2時前に官邸に入ると、午後4時すぎから合計53分間の執務をこなしただけで、午後6時半前には帰路に就いた。
 25日は閣議のため、久々に午前中から官邸入りしたが、午前10時21分の閣議終了後は“安静”にしていたのか、午後2時39分まで4時間以上も予定は空白。午後4時すぎから、ようやく教育再生実行会議などの執務をこなすと、再び1時間半ほどの空白を挟み、午後6時すぎには官邸を後にした。
 この日の執務の実働時間は計154分。140分の壁こそ越えたとはいえ、たかだか約2時間半しか働いていない。まともな執務に耐えきれないほど体調が悪いのであれば、同世代だった昭和の大横綱を見習って潔く総理の職を辞すべきだ。その方が安倍自身にとっても、コロナ禍にあえぐ国民にとっても、よっぽど有益なはずである。
 ところが、安倍は千代の富士と違って「次世代が育っていない」ことをこれ幸いに、まだまだ総理の座にしがみつこうとする。実に奇怪であり、ブザマだ。


*首相の体調すら弄ぶ非情な権力ゲーム
 そもそも安倍は体力だけでなく、能力、知力もハナから限界だった。
 通算在職日数に加え、連続在職日数も憲政史上最長を塗り替えたといっても、目ぼしいレガシー(政治的遺産)はゼロ。「悲願」として憲法改正、北方領土返還、日本人拉致問題の解決と大きな政治テーマをぶち上げたものの、7年8カ月もの間、何ひとつ1ミリも進展していない。もはや来夏に延期された東京五輪の開催にすがるしかない情けない実情である。
 そんな無知無策をゴマカすためだろう。「待機児童ゼロ」「女性活躍」「地方創生」「1億総活躍」「働き方改革」「人づくり革命」「全世代型社会保障」……と次々と看板を掛け替え、「やってる感」だけは猛アピール。国民の目をはぐらかすことには長けているが、ほぼ全てが看板倒れでたなざらし状態だ。やはり無能は隠せない。
 輪をかけて「能力と知力の限界」をさらけ出しているのが、現下の新型コロナウイルス対策の迷走ぶりである。
 アベノマスクとともに二転三転した定額給付金も、なかなか国民の元には届かず、その間、安倍は星野源の「うちで踊ろう」に便乗した自宅で愛犬とたわむれる優雅な動画をインスタグラムに投稿。国民の大ヒンシュクを買った。
 持続化給付金事業では電通の「中抜き」が発覚。揚げ句の果てに「Go To トラベル」の見切り発車で「経済を回す」どころか、感染再拡大を後押しする始末だ。独自の緊急事態宣言に追い込まれた沖縄の人々は、明らかに安倍の愚策の犠牲者である。
 無知・無能政権のコロナ対策はデタラメだらけ。それなのに安倍は2次補正で破格の10兆円もの予備費を計上すると、6月17日の通常国会閉会直後から雲隠れ。再三にわたる野党の臨時国会の召集要請を無視し、コロナ失政への国民の厳しいまなざしから逃げまくる。誰の目から見ても総理失格。今なお、引きずり降ろされていないこと自体、摩訶不思議だ。


*結局、国民生活よりも政局優先
 高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「このコロナ禍で、かくも失政を重ねている世界のリーダーはベラルーシのルカシェンコ、ブラジルのボルソナロ両大統領くらい。G7ではトランプ米大統領を抑え、断トツのワーストでしょう。そんな失政続きの首相を自民党内は引きずり降ろそうともしないどころか、追及逃れの口実に『疲れているから休ませないと』とか『国会に出さないように』とか言って守り続ける。さも『ウイルスとの闘いに首相も疲弊しているけど、頑張っている』と同情を誘い、『今こそ応援』とばかりに、数々の失政をチャラにしようとのもくろみでしょうが、冗談ではない。この未曽有の危機において指揮が執れないほど健康を害しているなら、国民にわびて退陣すべき。そんな首相に代わる人材がいないのは後継者を育てず潰してきた7年8カ月のツケです」
 安倍の休養をしきりに勧めてきたのが、第2次安倍政権の樹立に動いた“盟友”の2人だ。自民党の甘利税調会長は「首相は休むことが罪だという意識まで持っている。強制的に休ませなきゃダメだ」とまで言えば、麻生財務相も負けていない。番記者に「147日間、休まず働いたら普通、体調はおかしくなるんじゃないの」とすごんでみせた。
 およそ国政を預かる重責を担うトップへの発言とは思えないが、25日は小泉環境相まで参戦。「政治家に限らず、世の中には持病やストレスと闘いながら働く人はいっぱいいる。首相も例外ではない」と同情論を振りかざした。
 そんな常軌を逸した発言を無批判に垂れ流す大マスコミもどうかしている。安倍サマ天下の7年8カ月で、すっかり飼い慣らされたのか。いずれにしても異様な世界だ。政治評論家の本澤二郎氏はこう言った。
「安倍首相の体調を巡り、一種の権力ゲームに興じているのが、今の政府・与党です。体調をかばう面々は安倍さんが首相でいてくれた方が都合がいいだけ。逆に『執務室で吐血した』などと健康不安説をあおる面々も思惑含み。安倍首相が体調悪化を理由に辞職すれば、ドサクサ紛れに党員投票など正式な手続きを経ず、自分たちの意に沿った『ポスト安倍』を選べると企んでいるのでしょう。これだけ国民がコロナ禍で苦しんでいるのに、政府・与党にすれば国民の生活よりも政局優先。メディアもメディアです。SPなどから情報を得る努力もせず、首相の真の体調を国民に伝えることを放棄し、政府・与党内のコップの中の嵐を放置して垂れ流すのみ。トップの体調すら権力ゲームの材料にする政治の非情は、政権末期を物語っています」
 いつまでこんな狂った政治状況が続くのか。国民はたまったものではない。
(日刊ゲンダイ)
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都医師会長が政権に三行半「国に頼るのは諦める」の衝撃


 新型コロナウイルスの「第2波」に国民不安が高まる中、医療界の重鎮が安倍政権に三行半を突きつけた。東京都医師会の尾崎治夫会長が「国に頼るのは諦める」と宣言。公然と反旗を翻す異常事態だ。批判の的となった安倍首相は歴代最長政権を手にしたものの、体調不安説の拡散も重なって求心力が急低下。28日に予定される会見であれやこれやの懸念払拭を狙うようだが、もはや絶体絶命なんじゃないか。
 都医師会の上部組織である日本医師会は、自民党とベッタリの強力な支援団体。にもかかわらず、尾崎会長は政府のコロナ対応をたびたび批判してきた。先月末の会見では「国の無策の中、感染者が増えるのは我慢できない」「コロナに夏休みはありません。一刻も早く国会を開いて国ができることを示して国民を安心させて下さい」と発言。拡充しない検査体制に業を煮やし、都内のPCRセンター設置も主導した。その尾崎会長の24日のフェイスブックへの書き込みは、とにかく強烈だ。
〈国は動く気配がありません。安倍首相の健康問題を取り上げ国会を開くことには、さらに消極的になったような気がします〉と書き出し、〈コロナ危機を考えると首相代行を立ててでも厚労大臣やコロナ担当大臣が協力すれば、法改正の議論はできるはずなので、是非、国会を開いてほしい〉とアベ抜きの臨時国会召集を要望。一方、インフルエンザ流行期に備えて〈現行法の中でできる対策を考え、都民のために頑張ることに重点をおこうと思います。国に頼ることは、もう諦めようと思います〉と、都医師会は独自路線を歩むとした。


*安倍首相は会見で「重病」「退陣」払拭狙い
 尾崎会長の指摘の通りで、安倍首相の健康不安が国政を一層停滞させているのは疑いようがない。慶大病院に2週連続で通い、「時短勤務」を続行中だ。時事通信の「首相動静」によると、25日は14日ぶりに午前中に官邸入りしたが、執務は計154分。閣議出席後は「空白の4時間」を過ごしていた。持病の潰瘍性大腸炎の悪化で顆粒球吸着除去療法(GCAP)を受けてフラフラだとか、亡父と同じ膵臓がんに罹患した、大腸がんを患っているとの情報も飛び交う。麻生財務相に臨時代理を託し、休養に入るシナリオも既定路線化しつつあるが、28日に会見を開いてコロナ対策を打ち出し、退陣説を打ち消すつもりだという。
「24日に報道陣から検査結果を問われた総理は、〈またお話しさせていただきたい〉と言ったきり。野党からも国会説明を求められている。会見で多少でも話せば、世論の不安を払拭し、野党の要求もかわせるとの算段で会見セットに動いているようです」(与党関係者)
 歴代最長、最悪政権の悪あがきにはほとほとウンザリだ。
(日刊ゲンダイ)
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