松尾篤興のブログ「閑話放題」

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法から、日本の政治まで、言いたい放題の無駄話。

中国と韓国に対する大幅な輸出減は安倍政権の失政が引き金

  


 日本の輸出は今、危機的状況を迎えている。財務省が発表した8月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1363億円の赤字だった。主要な内容はざっと次の通りである。
 ①全体の輸出額は8・2%減 ②中国向けの輸出が前年比12・1%減で、6カ月連続で前年割れ ③韓国向けの輸出額は9・4%減。ビールを含む食料品の輸出額は40・6%減 ④米国向けも11カ月ぶりに減少。自動車や自動車部品の輸出が減った ⑤東南アジア向けも振るわなかった⑥欧州連合(EU)向けは1・3%減――。
 数字が示すように輸出は八方ふさがりである。特に「全体の輸出額は8・2%減」「対中国向けが12・1%減」「対韓国向けが9・4%減」はあまりにもひどいだろう。
 こうした事態を招いたのは安倍政権の失政にほかならない。
 中国向け輸出が大幅に減少したことについて、中国経済の減速を理由とする解説が見られるが、中国経済が減速したとはいえ、8月の工業生産は前年同月比4・4%増。つまり、何らかの障害がなければ、対中輸出は同程度に増えるはずなのに大幅減だからつじつまが合わない。
 対中輸出が減った理由は、日本が中国の通信設備や5G関連の導入をやめ、部品供給を差し控えたことによるものだ。液晶機器製造用などの「半導体等製造装置」が大きく落ち込んでいることから見ても明らかだろう。
 一方、対韓輸出の減少は、徴用工問題から始まった一連の日韓関係の緊張によるところが大きい。
 日本国民はあらためて、中国、韓国への強硬姿勢が妥当なのかを真剣に考える必要がある。
 韓国に関しては「国際法を破る韓国はけしからん」という声が日本中を覆っている。しかし、2004年広島高裁は同じような中国人の請求権に関する審議で「外国人の加害企業によって被害を受けた者が、個人として加害行為に対して有する損害賠償権は固有の権利であって、他の国家との条約を以て放棄させることはできない」としている。
 個人の損害賠償請求権は消滅していないことについては、柳井俊二・外務省条約局長が1991年8月27日の参議院予算委員会でも答弁している。
 日本と同様の問題を抱えるドイツは政府と企業が基金を創設して約7200億円を賠償している。韓国人個人が損害賠償を要求するのは、決して国際法違反ではない。
 本来は消滅していない個人の請求権を「1965年協定ですべて解決している」とし、経済的報復措置を取ったことが間違いの始まりなのである。
(日刊ゲンダイー孫崎享)
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