Matsuo Atsuokiのブログ

今迄にない科学的な整合性から導かれた正しい発声法、歌唱法。

2018.7.25.レッスンまとめ

K.T.さん、先日のレッスンの理論を纏めておきましたので、お目通し下さい。


①ブレス:
寝息の様な一律、一定の安定したブレスを用いる。
音の高低、大小によってブレスの量や圧力を変えない注意が必要で、この一定の安定したブレスを用いることが雑音ではない楽音による美声を生み出す原動力となります。
ムービー:横隔膜の動き



3D view of diaphragm


横隔膜の自然な収縮に吸気、呼気を任せるのが寝息の様な一定の安定したブレスを生むでしょう。
声の大小、高低によってブレスの量や圧力を変えぬ事が大切です。


②声帯:
 下図は声帯がある甲状軟骨の内部の写真です。
 被列軟骨が開閉する事によって声帯は閉じたり開いたりしますが、声唇と呼ばれる声帯筋の働きで、粘膜で出来ている声帯はより強く閉鎖できるのです。



ムービー:声帯と音高との関係



声帯


このように音が高くなると声帯は伸び、音色は細くなります、更に高い音になると声帯は短くなって子供の声の様になります。
これは言って見れば人の属性による反射であって、この現象をいかに一様な声の音色を安定させるかを編み出したのがベルカントです。ベルカントが編み出した一様な声の音色の安定とは、声帯全体を前傾させ、まるで弦楽器のチューニングの様に声帯を全体的に引伸ばす事によって高音域に対処できる方法を完成させた事でした。


図の様に甲状軟骨を前傾させる事によって声帯は伸び、高音域に対処する事が出来ます。甲状軟骨を前傾させるには輪状甲状筋、胸骨甲状筋などの引き下げによって達成されるのですが、特に第2肋骨まで伸びている胸骨甲状筋の働き、さらにこれらに関係する筋肉の働きが、甲状軟骨を前傾させるに十分な筋肉と云う事ができましょう。
この甲状軟骨前傾のための引き下げ筋の働きをappoggioと呼び、声の支えとして考えられる様になりました。


声のメカニズムは横隔膜の収縮によって取り入れられた吸気が、横隔膜の収縮停止で外に吐き出される呼気によって声帯を通過し音声となるのですが、吸気で下方へ引き下ろされた横隔膜が呼気で上方へ戻る動きに反して、音程が上昇するためには声の支えとして胸骨甲状筋の下方へのひきおろしが生ずる、この相反する動きがいかにスムーズに行われるかによって声の安定、つまり音の高低に関わりない均一な音色の声が得られるのです。


③声量:
寝息の様な一定のスムーズなブレスによって歌声は生まれるのですが、ではより大きな声、ffはどの様にして生まれるのでしょう。



嚥下・誤嚥のメカニズム(ニュートリーオリジナルCG)


この嚥下の動画で解る様にものを飲み下す事を考えただけで喉頭蓋は僅か0.5秒で反転し、気管の入り口を塞ぐと同時に声帯も閉じられます。この声門閉鎖の反射を利用して強い音声を出すのが、アインザッツと呼ばれる声の出し方で、歌い出しの音声がエッジの効いた音声が生まれます。これは強い声門閉鎖による声帯から爆発的な音声が生じるために起こる現象で、これにより適正な量と圧力のブレスが流れffの歌声が生まれるのです。



従来ffの声はブレスの圧力や量を増やす事によって歌われてきました。しかしこれではブレスの量が過剰だったり圧力が多すぎたりすれば、たちまち怒鳴り声、つまり雑音となってしまい、楽音である筈の美声は生まれません。
強い声や大きな声は安易にブレスの圧力や量に頼るのではなく声帯の操作によって適正なブレスの圧力や量が自然に決定される方法を選択すべきです。
寝息を使ったブレスに声を乗せるとビブラートの無い声が生まれますが、そこから嚥下反射を利用した声門閉鎖を行うとアインザッツのエッジの効いた声で綺麗なビブラートのついた強い豊かな声が生まれます。


以上、先日のレッスンの纏めです。


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